一つの点が一組のデータを表す

散布図では、横軸と縦軸にそれぞれ別の項目を置き、対応する二つの値を一つの点で表します。例えば、同じ日の気温と飲料の販売数を記録したなら、ある日の気温を横方向、販売数を縦方向に取った点が、その日の一組のデータになります。対象となるのは、長さ、時間、個数など、大小や差を数で扱える量的データです。

最初に見るのは、点の集まりが全体としてどの方向に伸びているかです。右上がりなら、一方が大きいときにもう一方も大きい傾向があります。右下がりなら、一方が大きいときにもう一方は小さい傾向があります。どちらの方向もはっきりしない場合は、少なくとも図から単純な直線関係を読み取るのは困難です。

方向だけでなく、点のまとまり方も重要です。細長く密集していれば直線的な傾向が比較的明瞭で、広く散らばっていれば関係は不明瞭です。途中で曲がる形、幾つかの集団に分かれる形、ほかから離れた点がある形もあります。そのため、代表値や相関係数だけを確認するのではなく、まず図にして分布の形を見ることに意味があります。

回帰直線は点の集まりを式に置き換える

回帰分析は、観測したデータの傾向を数式で表す方法です。二つの変数の関係を一本の直線で表す単回帰分析では、一般に横軸の変数を説明変数、縦軸の変数を目的変数として、目的変数を「傾き×説明変数+切片」という形で表します。傾きは、説明変数が1増えたときに目的変数が平均的にどれだけ変化するかを示します。切片は説明変数が0のときに式が示す値ですが、0が観測範囲から遠ければ、現実的な意味を持たないこともあります。

直線を決める代表的な方法が最小二乗法です。それぞれの点について、実際の目的変数の値と直線が予測した値との差を求め、その差を二乗して合計します。この合計が最も小さくなるように傾きと切片を選びます。差をそのまま足すと正負が打ち消し合うため、二乗することで、ずれの大きさをまとめて評価できます。

回帰直線は、すべての点を通る線ではありません。ばらつきを残したまま、点の集まりにある直線的な傾向を要約した線です。この点で、データを完全に再現する式ではなく、現実の一部を単純化して扱うモデルの一種だと考えられます。

残差を見ると予測の外れ方が分かる

各点の実測値と回帰式による予測値との差を残差といいます。散布図上では、点と回帰直線との縦方向のずれに当たります。残差が小さい点では予測と実測が近く、残差が大きい点では大きく外れています。予測値だけでなく残差を調べると、一本の直線で表すことが妥当かを検討できます。

残差が直線の上下に特定の形を作らず散らばっていれば、直線で要約する考え方と大きく矛盾していないと判断できます。一方、弓なりの並びが残るなら、元の関係は曲線的かもしれません。説明変数が大きくなるほど残差の幅が広がる場合は、予測の不確かさが範囲によって違う可能性があります。回帰式を得たところで分析を終えず、式が拾えなかった形を確かめることが大切です。

外れ値は回帰直線の傾きや切片に大きく影響する場合があります。ただし、離れた点を機械的に削除してよいわけではありません。入力ミスなのか、測定上の問題なのか、それとも実際に起きた重要な現象なのかを、データの集め方まで戻って確認する必要があります。

回帰式の内側と外側で予測の意味が変わる

回帰式に説明変数の値を入れると目的変数の予測値を計算できますが、信頼しやすいのは、基本的にデータを観測した範囲の内側です。観測範囲を越えた値を予測する外挿では、その先でも同じ傾向が続くという強い仮定が加わります。散布図の範囲内では直線に近く見えても、範囲外で上限に達したり、別の条件が働いたりすることがあるためです。

また、予測がよく当たることと、原因を説明できることは同じではありません。気温と販売数の間に関係が見えても、回帰式だけで「気温だけが販売数を変えた」とは結論づけられません。季節、曜日、価格など、両方に関係する別の変数が影響している可能性があります。相関関係と因果関係を区別し、データの集め方やほかの要因も合わせて考える必要があります。

アンスコムの四つ組が示す「まず点を描く」理由

散布図の重要性を示す有名な例に「アンスコムの四つ組」があります。これは、平均や分散、相関係数、回帰直線などの要約結果がほぼ同じになる四組のデータです。ところが、実際に散布図を描くと、直線的に並ぶもの、曲線を描くもの、外れた一点の影響が大きいものなど、互いに異なる形が現れます。

ここから分かるのは、計算された指標が誤っているということではありません。同じ要約値でも、背後にあるデータの姿が同じとは限らないということです。数値は比較や要約に役立ち、散布図は形や例外の発見に役立ちます。回帰分析では、散布図を描く、式を求める、残差や外れ値を確かめる、結果をデータの文脈に戻して解釈する、という複数の確認を組み合わせることで、読み違いを減らせます。