2025年から必須科目になった情報I

共通テストの情報Iは、情報科で学ぶ基本的な考え方を横断して確認する科目です。 プログラミングだけ、用語暗記だけ、と範囲を狭く見てしまうと準備に偏りが出ます。 まずは教科書の章立てに沿って、情報社会、情報デザイン、プログラミング、ネットワークとデータの考え方を一通り確認しておくことが大切です。

問われるのは、用語をそのまま再生する力だけではありません。会話文、表、図、プログラムなどから条件を拾い、与えられた目的に合う判断を選ぶ力が必要です。 そのため、対策では「知っているか」と「資料の中で使えるか」を分けて確認します。用語の意味を短く答えられても、事例問題で判断できなければ、関連する条件や反例まで復習します。 反対に、計算やプログラムで間違えても、原因が読み落としなら、同じ計算問題だけを増やすより問題文に印を付ける手順を整えるほうが有効です。

出題範囲の4分野を押さえる

情報Iの学習範囲は、大きく「情報社会の問題解決」「コミュニケーションと情報デザイン」「コンピュータとプログラミング」「情報通信ネットワークとデータの活用」の4分野として整理できます。 情報社会の問題解決では、情報モラル、知的財産、問題解決の手順などを扱います。 情報デザインでは、相手に伝わる表現やメディアの特徴を確認します。 プログラミングでは、変数、条件分岐、繰り返し、手順の読み取りが重要になります。 ネットワークとデータでは、通信の基本、データベース、表やグラフの読み取りを組み合わせて考えます。

情報社会の問題解決

この分野では、問題の発見から解決案の評価までを、具体的な場面に当てはめて考えます。 問題解決の手順は、順番の暗記で終わらせず、「目的を定める」「必要な情報を集める」「案を比較する」「結果を評価して改善する」のどこに当たるかを事例ごとに判断します。 また、情報モラル知的財産権は、似た語の区別だけでなく、情報を公開・引用・再利用するときに何を確認すべきかが問われます。 「便利だから」「悪意がないから」で結論を出さず、本人の同意、公開範囲、権利、情報の正確さという観点を一つずつ確認します。

コミュニケーションと情報デザイン

ここでは、誰に何を伝え、どの媒体と表現を選ぶかを考えます。 情報デザインでは、文字の大きさ、色、余白、情報の並び、図と文章の役割分担を、目的と受け手に結び付けて読みます。 見た目が華やかな案が常に正解なのではありません。重要度の差が読み取れるか、操作の手掛かりがあるか、色だけに意味を持たせていないかなど、ユーザビリティとアクセシビリティの観点で比較します。 複数案を比べる設問では、好みではなく、問題文に示された受け手・利用場面・制約を根拠に選びます。

コンピュータとプログラミング

この分野では、アルゴリズムをプログラム表記に置き換え、実行結果や処理途中の状態を追います。 中心になるのは、変数への代入、条件分岐、繰り返し、配列です。 コードを上から眺めるだけで答えを予想せず、実際に通る行だけを順番に追います。特に、繰り返しの回数、配列の何番目を参照しているか、条件が真になる瞬間、同じ変数が再び代入される箇所を記録します。 完成したコードを選ぶ問題でも、選択肢の違う行だけを比べるのではなく、その違いが最初の値・途中の値・最後の値にどう影響するかを確かめます。

情報通信ネットワークとデータの活用

ネットワークでは、情報が送信元から宛先へ届くまでの役割分担を整理します。 プロトコルは名称だけでなく、「通信のどの約束を定めるものか」を確認します。 データの活用では、調査の目的、集め方、表の構造、グラフ、代表値、散らばり、外れ値などを関連付けます。 データベースでは、行と列が何を表すか、条件を組み合わせるとどのレコードが残るかを読みます。 グラフでは増減だけを見るのではなく、軸、単位、目盛り、母数を先に確認し、相関が見えても直ちに原因と結果だと決めないことが重要です。

対策は暗記と公式問題演習の2ステップで進める

最初のステップは、頻出用語を短い問いと答えに分けて反復することです。 ブラウザで暗記カードを作るなら、覚える君を使うと、学習中に出てきた用語や苦手な考え方をカード化して復習できます。 用語は長い説明を丸ごと覚えるより、「何を指す言葉か」「どの場面で使うか」を短く答えられる形にすると続けやすくなります。

覚える君を初めて開いたときは、「情報I用語集で始める」から問題集を取り込み、問題集を選んで「学習開始」へ進みます。 問題文を読んで用語を短答入力し、送信後に自分の回答、正答例、解説を比較します。その後、思い出せなかった場合のUnknownを含むHard・Good・Easyの段階で自己採点すると、その記録を基にFSRSが次の復習時期を調整します。 正解表示だけを見て先へ進むのではなく、迷った語はHard、答えられなかった語はUnknownのように、思い出しやすさを正直に記録することが復習の精度につながります。 学習データはブラウザのIndexedDBに保存され、データ管理から学習履歴や設定を含むバックアップをJSONで出力できます。端末やブラウザを変える前にはバックアップを残しておくと安全です。

次のステップは、大学入試センターが公開している公式問題を実際に解くことです。 令和7年度本試験の問題一覧は、大学入試センター公式サイトで確認できます。 問題を解いた後は、解けなかった原因を「用語を知らなかった」「手順を追えなかった」「図表を読み違えた」のように分け、復習する内容を決めます。

擬似言語DNCLは値の変化を表にして読む

共通テスト用のプログラム表記は、特定の製品やプログラミング言語の知識ではなく、処理の意味を読み取るための擬似言語です。 まず、代入と比較を区別します。gokei = 0=は右辺の値を左辺へ入れる代入であり、数学の等式を宣言しているわけではありません。 一方、gokei == 0==は、左右が同じかを調べる比較です。代入文を通るたびに、以前の値は新しい値へ更新されます。

次に、短いコードでも手作業のトレース表を作ります。たとえば、配列Dataの要素を順に足す処理なら、表の列を「繰り返し変数i」「参照したData[i]」「代入後のgokei」にします。 繰り返しに入る前の初期値を最初の行に書き、gokei = gokei + Data[i]を実行した直後だけ合計を書き換えます。 頭の中だけで追うと、更新前と更新後の値を混ぜやすいため、「その行を実行した後の値」に統一するのがコツです。

条件分岐では、条件式の結果を真か偽で欄外に書き、実行されなかった側の処理には斜線を引きます。 繰り返しでは、開始値、終了値、増減量を囲み、何回実行されるかを先に数えます。配列は、問題中で添字がどこから始まるかを必ず確認し、要素の個数と最後の添字を同じものだと考えないようにします。 入れ子の繰り返しは、内側が終わってから外側の変数が次へ進みます。外側の値が一つ変わるごとに区切り線を引くと、内側の変化を混同しにくくなります。

2つのツールでプログラムを図と動きに変える

DNCLトレーサーで手書きの表を照合する

プログラムのなぞり書きには、合計、最大値、線形探索、交換法による並べ替え、外部入力を使った集計の例題があります。 最初は「合計を求める」を選び、紙にigokeiの変化を予想してから「1行ずつ動かす」を押します。「次の1行へ」で進むと、現在の行が示され、変わった変数には印と値が表示されます。予想と違った地点では「1行もどる」で直前の状態へ戻り、どの代入を見落としたかを探せます。

配列の番号は「0から」「1から」を切り替えられるため、同じ処理でも添字の読み方が変わることを確認できます。 「【外部からの入力】に使う値」には、値をカンマか空白で区切って入力できます。コード自体も「書きかえる」から編集できるので、比較演算子を一つ変えたり、配列の値を入れ替えたりして、出力がどう変わるかを確かめます。 これは答えを得るための代用品ではなく、自分のトレース表と実行履歴を一行ずつ照合するために使います。

フローチャートで分岐と繰り返しの骨格を見る

コードの字下げや入れ子が見えにくい場合は、フローチャート・手順表エディタで流れを図にします。 画面上部で「フローチャート」を選び、入力補助の「開始/終了」「処理」「判断・分岐」「ループ」「入力/出力」から必要な形を押すと、Mermaidコードの断片が編集欄へ入ります。 ノードの文言をDNCLの処理に合わせて「合計を0にする」「次の要素を足す」「最後の要素まで進んだか」のように直すと、右側のプレビューで流れを確認できます。

判断から出る「はい」「いいえ」の矢印と、繰り返しで判断へ戻る矢印を先に置き、その後でDNCLの各行を対応させます。 フローチャートには値の細かな変化、DNCLトレーサーには各行の変数の状態という役割の違いがあります。最初に図で全体の経路をつかみ、次にトレーサーで値を追うと、「どこを通るか」と「通った結果何が変わるか」を分けて理解できます。

時間配分は見直し時間から逆算する

時間配分を考えるときは、分野ごとの持ち時間を固定するより、最後に必要な見直し時間を先に確保します。 演習を始める前に、終了前の一定区間を見直し用として空け、残りを大問の資料量と自分の得意不得意に応じて割り当てます。開始後は全体を見渡し、ページ数ではなく、長い会話文、表やグラフの数、プログラムの長さを確認します。 読む量が多い大問には余裕を持たせ、短い知識問題と同じ時間を機械的に配らないようにします。

各大問に入った時刻を問題冊子の余白に書き、「この時刻までに次へ進む」という通過点を決めます。 一つの小問で止まったときは、必要な条件に印を付け、仮の選択肢と迷った理由を残して次へ進みます。後で戻ったときに最初から読み直さずに済むからです。 ただし、前の小問で求めた値を後の小問が使う場合は、推測した値と確定した値を区別して記録します。マーク位置のずれ、単位、否定表現、配列の添字は、確保しておいた見直し時間に優先して確認します。

時間を測る練習は二段階にします。最初は制限を設けず、根拠を説明できるまで丁寧に解きます。次は公式問題に示された条件に合わせて解き、どの大問のどの作業に時間がかかったかを記録します。 「データ分野が遅い」のような大きな分類だけでなく、「軸と単位の確認」「表から条件に合う行を探す」「二重ループを表にする」と作業単位で記録すると、短縮すべき箇所が明確になります。

分野別のつまずきを解き直しに生かす

  • 情報社会の問題解決:法律、モラル、セキュリティ対策をすべて「してはいけないこと」としてまとめると、根拠を選べません。間違えた選択肢ごとに「守る対象」「想定する危険」「取る行動」を書き分け、問題解決では目的と評価方法が対応しているかも確認します。
  • コミュニケーションと情報デザイン:見やすさを個人の好みで判断しがちです。受け手、利用環境、伝える優先順位を問題文から抜き出し、それぞれの案がどの条件を満たすかを比較します。色、形、位置、文字のうち、情報を伝える手掛かりが一つしかない案にも注意します。
  • コンピュータとプログラミング:コード全体を一度に理解しようとすると、代入前後や繰り返しの境界を混同します。初期値、変化する行、終了条件の三つを先に探し、紙のトレース表とDNCLトレーサーの履歴を照合します。配列では添字の開始位置と最後の位置を問題ごとに書き込みます。
  • ネットワークとデータの活用:用語を覚えていても、図のどの機器・処理に当たるかで迷いやすい分野です。通信は送信から受信までを矢印でたどり、各仕組みの役割を置きます。データは軸、単位、対象数、欠損や外れ値を確認してから計算し、相関と因果を分けて説明します。

解き直しノートには問題を丸ごと写さず、「間違えた作業」「正しい確認手順」「次に気付くための印」の三点を残します。 たとえば「配列で失点」ではなく、「要素数を最後の添字として使った。次は添字の開始位置と終了位置を先に書く」と記録します。 用語不足なら覚える君、処理の経路が曖昧ならフローチャート、変数の更新を誤ったならDNCLトレーサーというように、原因に合う道具へ戻ると、演習量を増やすだけより復習の狙いが明確になります。