情報の向きを追うと「入力」と「出力」が見分けられる
入力装置と出力装置を見分ける基準は、機器の形ではなく、情報がどちらへ進むかです。キーボードで文字を打つと、押されたキーの情報がコンピュータへ送られるため、キーボードは入力装置です。ディスプレイはコンピュータから受け取った文字や画像を画面に示すため、出力装置です。
入力装置には、キーボードやマウスのほか、マイク、カメラ、スキャナ、各種センサーなどがあります。人の操作だけでなく、音、光、温度、動きといった周囲の状態を取り込む機器も入力装置です。出力装置には、ディスプレイ、プリンタ、スピーカーなどがあります。結果は映像や印刷物だけでなく、音、振動、光などでも伝えられます。
ここでいう入力と出力は、人が一方的に命令して結果を受け取るだけの関係ではありません。画面に表示された選択肢を見てマウスを動かし、その結果として表示が変わり、さらに次の操作を決めることがあります。このように、出力を確かめて次の入力を行う往復によって、人とコンピュータの対話が続きます。この接点全体を考えるのがユーザーインタフェースです。
キー入力や音声が処理結果になるまで
キーボードで文字を入力する場面では、キーを押したことが電気信号として検出され、どのキーが操作されたかを表すデータとしてコンピュータへ渡されます。そのデータをプログラムが解釈し、CPUが必要な処理を進めます。処理後の文字データは表示用の情報へ変換され、ディスプレイ上の文字として出力されます。
マイクでは、空気の振動である音を電気信号へ変え、さらにコンピュータが扱えるデジタルデータにします。現実の連続的な変化を数値で表す考え方は、アナログとデジタルの違いと結び付きます。一方、スピーカーは音声データをもとに電気信号を作り、振動板を動かして空気の振動として出力します。
カメラとディスプレイも似た関係です。カメラは光を受け取って画像データを作り、ディスプレイは画像データに基づいて光を出します。ただし、入力した情報がそのまま出力されるとは限りません。画像の明るさを変える、音声を文字に変換する、計算結果をグラフにするといった処理が、両者の間に入ります。入力・処理・出力を分けて考えると、コンピュータが情報をどう扱ったかを順序立てて確認できます。
タッチパネルは画面であり操作面でもある
一つの機器が入力と出力を兼ねることもあります。タッチパネルは、画像や文字を表示する部分が出力装置として働き、触れた位置を検出する部分が入力装置として働きます。「画面」という一つの部品に見えても、表示と位置検出という異なる仕組みが組み合わされています。
ヘッドセットも、イヤホンやスピーカーの部分は音を出力し、マイクの部分は音を入力します。複合機では、スキャナが紙面を画像として入力し、プリンタが画像や文字を紙へ出力します。このように両方の機能を持つものは、まとめて入出力装置やI/Oデバイスと呼ばれます。I/Oは英語のinputとoutputを短く表した書き方です。
兼用機器では、入力と出力が連携することで操作が分かりやすくなる場合があります。タッチパネルでは、表示されているボタンに直接触れられるため、画面上の位置と手の動きを対応させやすくなります。一方で、指で表示が隠れる、触った感覚だけでは操作結果が分かりにくいといった性質もあります。機能を兼ねること自体が、いつでも使いやすさを保証するわけではありません。
入出力装置の選択は使う人と環境で変わる
同じ情報を扱う場合でも、適した装置は状況によって異なります。長い文章ならキーボード、画面上の位置指定ならマウスやタッチ操作、手がふさがっている場面なら音声入力が役立つことがあります。出力についても、変化をすぐ確認するならディスプレイ、手元に残すならプリンタ、画面を見続けられない場面なら音声が候補になります。
選ぶときは、速さや精細さだけでなく、誤操作の起こりにくさ、疲れにくさ、周囲の明るさや騒音、利用者の身体的な特性も考える必要があります。小さな文字しか表示できない画面や、色の違いだけで状態を示す表示は、情報を受け取りにくい人がいます。音声だけの案内も、音を聞けない状況では伝わりません。文字、音、図、振動など複数の方法を組み合わせれば、一つの方法が使えない場合を補えます。こうした検討はユーザビリティとアクセシビリティに深く関係します。
また、入力される情報には個人に関わる内容が含まれることがあります。カメラやマイク、位置や動きを捉えるセンサーは便利ですが、いつ動作し、何が記録され、どこへ送られるかを確認することが大切です。装置の便利さだけでなく、入力される範囲と目的まで意識する必要があります。
「どちらの装置か」は見る範囲によって変わる
入力装置と出力装置には、常に一つだけの分類名が付くわけではありません。タッチパネルのような兼用機器だけでなく、コンピュータシステムのどこを境界と考えるかによっても説明が変わります。
例えば、プリンタはコンピュータから見ればデータの送り先なので出力装置です。しかし、プリンタ内部にもデータを受け取って処理する仕組みがあり、その内部だけに注目すれば、受け取る部分はプリンタにとっての入力です。スキャナはコンピュータへ画像を送る入力装置ですが、読み取りの状態をランプや音で利用者へ知らせる出力機能を持つことがあります。
さらに、記憶装置への書き込みを出力、読み出しを入力として扱う説明もあります。人とのやり取りに注目する日常的な分類と、コンピュータ内部のデータの流れに注目する分類では、対象とする範囲が違うためです。「何に対する入力・出力なのか」を先に決めると、名称だけに迷わず情報の流れを捉えられます。