「無断転載禁止」と「何でも自由」の間を示す

文章、写真、音楽、イラストなどには、原則として創作した時点から著作権が生じます。他人が利用するには、法律で認められた例外を除き、著作権者の許可が必要です。しかし、作者が広く使ってほしいと考えていても、作品に何も表示されていなければ、利用したい人にはその意思が分かりません。一件ずつ利用条件を問い合わせる方法では、作者と利用者の双方に手間がかかります。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)は、このすれ違いを減らします。作者は用意された条件を選び、作品と一緒にマークやライセンス名を表示します。利用者は、その条件の範囲なら個別に許可を求めずに、複製、配布などを行えます。条件を共通の形で示すため、言葉だけで「自由に使えます」と書くより、何が許されるかを判断しやすくなります。

これは知的財産権をなくす制度ではありません。作者が著作権を持っているからこそ、利用できる範囲を決めて許諾できます。「無料で見られる作品」「インターネット上に公開された作品」が、自動的にCCライセンスになるわけでもありません。作品の近くにライセンスの表示があるかを確かめる必要があります。

BY・NC・ND・SAの四つの記号を読む

CCライセンスの条件は、四つの要素で表されます。

  • 表示(BY):作者名など、指定されたクレジットを示します。
  • 非営利(NC):営利を主な目的とする利用を認めません。
  • 改変禁止(ND):改変した作品の共有を認めません。
  • 継承(SA):改変した作品を共有するとき、元と同じライセンスを付けます。

これらから、CC BY、CC BY-SA、CC BY-ND、CC BY-NC、CC BY-NC-SA、CC BY-NC-NDという六つのライセンスが作られています。どれにもBYが含まれ、後ろに条件が増えるほど、利用できる範囲は狭くなります。たとえばCC BYは表示を守れば改変や営利利用もできます。CC BY-NC-NDは、表示に加えて非営利と改変禁止も守る必要があります。

NDとSAが同じライセンスに入ることはありません。NDは改変したものを共有しない条件、SAは改変したものを共有する際のライセンスを指定する条件なので、役割が両立しないためです。

CC作品を再利用するときは四点を確かめる

利用前には、作品、作者、ライセンス、入手元が分かるように記録しておくと確認しやすくなります。表示では、作者名や作品名、元のページ、ライセンス名とその案内先などを、作品の示し方に従って記載します。編集、翻訳、色の変更、切り抜きなどを行った場合は、元の作品から変更したことも明らかにします。

次に、自分の使い方がNC、ND、SAに触れないかを確認します。NCが付く作品を広告や販売と結び付けて使う場合は、非営利に当たると決めつけず、条件の詳しい説明を確認することが大切です。NDが付く作品は、改変版を公開・配布できません。SAが付く作品を改変して共有するなら、改変版にも同じライセンスを付けます。

CCライセンスが付いていても、作品に写った人物のプライバシー、商標、第三者が持つ素材の権利まで一括して許可されるわけではありません。また、掲載者が本当に権利を持つかも別の問題です。情報を見つけてすぐ使うのではなく、出所と権利関係を確かめる姿勢は、メディアリテラシーにもつながります。

条件違反は「表示を忘れただけ」では済まない

CC作品は自由に使えると説明されることがありますが、正確には「示された条件を守る限り利用できる」作品です。作者名を書かなかった、改変を示さなかった、NC作品を条件に反して営利利用した、といった場合はライセンスの条件から外れます。ライセンスによる許諾を前提にしていた利用なら、そのまま続けてよいとはいえません。

一方、法律上の引用など、著作権者の許可を必要としない利用までCCライセンスが禁止するものではありません。CCライセンスは、著作権法が認める利用を取り上げるのではなく、それに加えて作者が許可する範囲を示すものです。著作権の例外規定と、ライセンスによる許諾は、根拠が異なります。

ライセンスを選ぶ作者側も注意が必要です。いったん公開した作品から表示を外しても、すでに正しく受け取った人に与えた許諾まで、都合に合わせて一方的に取り消せる仕組みではありません。作品に第三者の素材が含まれる場合は、その部分に同じライセンスを付ける権限があるかも確認します。

CC0は六つのCCライセンスとは別の道具

CCの仕組みには、六つのライセンスのほかに「CC0」という道具があります。CC0はBYなどの条件を組み合わせるライセンスではなく、権利者が著作権などの権利を、法的に可能な範囲で放棄し、作品を制約なく再利用できる状態に近づけるためのものです。そのため、CC BYとCC0はどちらも再利用を広げますが、CC BYでは表示が利用条件であり、CC0では表示をライセンス条件として求めない、という違いがあります。

ただし、CC0だから作者を偽ってよい、内容を誤解させてよいという意味ではありません。出典を示すことは、情報の信頼性を確かめ、元データや元作品にたどれるようにするうえで役立ちます。特にオープンデータでは、利用条件だけでなく、誰がいつ公開し、どのような方法で作成したデータかを確認することが、適切な分析につながります。記号が許す範囲と、情報を誠実に扱う姿勢は、分けて考える必要があります。