遅延カメラ(タイムシフトカメラ)とは
遅延カメラは、カメラに映っている映像をその場で見せるのではなく、数秒から数十秒遅らせて画面に出す仕組みです。 「タイムシフトカメラ」「追いかけ再生」と呼ばれることもありますが、指しているものはほぼ同じです。
ふつうに動画で撮る場合、撮る人が必要で、撮り終わってから再生ボタンを押し、見終わったらまた撮影に戻ります。 人数が多いほどこの往復が増え、実際に動く時間が削られます。 遅延カメラでは、端末を置いて遅延時間を決めておけば、動き終わった生徒が画面の前に立つだけで自分の動きが流れます。 操作する人がいらないので、教員は個別の助言に回れます。
逆に、遅延カメラが向かないこともあります。動きを止めて細かく見たい、何度も同じ場面を見返したい、数週間後に成長を比べたい、という目的なら、通常の録画のほうが適しています。 その場で気づいて直す段階には遅延カメラ、記録として残す段階には録画、と使い分けると無理がありません。
Chromebookやタブレットで使うための準備
必要なものは、カメラが付いた端末と、ブラウザでカメラを使う許可の2つだけです。 学校のChromebookは、管理者の設定でアプリの追加が制限されていることが多いため、インストールが要らずブラウザで開くだけのツールのほうが配りやすくなります。 生徒に配るのもURLだけで済みます。
授業の前に確認しておくこと
- 実際に使う端末で開けるか。管理設定はモデルや配布年度で違うことがあります。教員用の端末で動いても、生徒用で同じとは限りません。
- カメラの許可が出るか。初回はブラウザが許可を尋ねます。一度「ブロック」を選ぶと以後尋ねられなくなるので、生徒に押させる前に手順を見せておくと安全です。
- 電源と置き場所。カメラを動かし続けるため電池の減りが早くなります。長時間使う場合は電源のある位置に置きます。
- 回線に頼らない時間帯があるか。ページを開いたあとの映像処理は端末側で行うものが多いものの、最初にページを読み込むところは通信が要ります。40人が同時に開くと詰まることがあるため、授業の冒頭でまとめて開かせておくと落ち着きます。
iPadやiPhoneでも考え方は同じです。ブラウザでカメラを使う許可が要る点、画面が消えると映像も止まる点は共通なので、自動ロックまでの時間を長めにしておくと途中で切れません。
遅延秒数の決め方
遅延秒数は、長ければよいものでも短ければよいものでもありません。 目安は「1回の動きにかかる時間」と「動き終わってから画面の前に戻るまでの時間」を足した値です。 跳び箱や鉄棒のように数秒で終わる動きで、画面がすぐそばにあるなら10〜20秒程度から始めます。 助走や移動が長い場合、順番待ちの列が長い場合は、その分だけ足します。
合っているかどうかは、1回試せば分かります。画面の前に立ったときに自分の動き出しが映っていれば適切です。 もう終わりかけていれば長くし、まだ前の人が映っていれば短くします。 人数が変わると待ち時間も変わるので、クラスやグループの人数を変えたら決め直します。
待つ時間が長いと生徒は画面を見続けてしまいます。 「動いたら列の後ろに戻り、順番が2つ前になったら画面を見る」のように、見るタイミングまで決めておくと、待機列が画面の前に固まりません。
授業での置き方と回し方
端末は、動きの全体が入る位置に固定します。手持ちだと画面を見るときに向きが変わるため、三脚や台に置くか、壁ぎわの机に立てかけます。 真横から撮ると関節の角度が見え、正面から撮ると左右のずれが見えます。何を見せたいかで位置を決め、途中で動かさないほうが比べやすくなります。
画面はできるだけ大きいほうがよいのですが、学校の端末では限界があります。 1台を全員で見るより、グループごとに1台置いて、同時に何人も試せるようにしたほうが、1人あたりの回数が増えます。
1回の流れ
- 見る観点を1つだけ決める。「踏み切りの足はどちらか」「目線が下を向いていないか」のように、その回に見る点を1つに絞ります。映像は情報が多いので、観点がないと「なんとなく下手」で終わります。
- 動く。撮影の合図は要りません。カメラは常に映し続けています。
- 画面の前に立って見る。決めた観点だけを見ます。
- 言葉にしてから次へ。「次は◯◯を直す」と一言だけ決めて列に戻ります。見て終わりにせず、次の1回に何を変えるかまで決めるところが要点です。
体育以外でも使えます。発表練習では、話す姿勢や手の動き、聞き手を見ているかを自分で確認できます。 このとき評価の観点を合わせておくと、見るべき点がはっきりします。観点の作り方はプレゼンテーション評価ルーブリックの作り方にまとめてあります。 部活動で動きの位置取りまで含めて振り返りたい場合は、作戦盤で軌跡を残す方法と組み合わせられます。
撮った映像をどう扱うか
遅延カメラは人物を写します。映像を端末の中だけで処理するのか、どこかへ送るのか、保存が残るのかはツールによって違うので、使う前にそのツールの説明で確認してください。 確認できないまま「たぶん残らない」と判断しないことが大切です。
そのうえで、教室や体育館で決めておきたいことがあります。
- 関係のない人が映り込まない向きに置く。校庭や廊下に向けない。
- 保存したクリップは授業の中だけで使い、終わったら消す。
- 写っている本人以外が端末から持ち出さない。SNSに上げない。
- 写りたくない生徒の申し出を先に受け付け、別の確認方法を用意する。
これは情報科で扱う内容とそのままつながります。 他人が写った映像を無断で公開しない理由は個人情報保護法や情報モラルの学習で扱う範囲であり、体育の授業で実際に守らせる場面はその具体例になります。 学校の端末利用ルールがある場合は、そちらを優先してください。
サイト内の遅延カメラ
このサイトの遅延カメラは、ブラウザで開いて使うツールです。 カメラの映像を数十秒遅らせて表示し、ループ再生とクリップの保存に対応しています。インストールやログインは要りません。
端末の機種やブラウザ、学校の管理設定によって、カメラの許可が下りるかどうかは変わります。 授業の前に、実際に生徒が使う端末で1台開いて、映像が出るところまで確かめてから配ってください。 前の時間に動いたからといって、別の教室の別の端末で同じとは限りません。