パケット
(ぱけっと)
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ネットワーク上でデータを送るときに使う「小さく分割された荷物」のこと。宛先や順番の情報が書かれたラベル(ヘッダ)が荷札のように付いている。
背景・歴史
昔の電話回線は「回線交換」という方式で通信していました。電話をかけると、発信者と相手の間に1本の専用の通信路(回線)が丸ごと確保され、通話が終わるまでその回線は他の人が使えません。これは音声のように「途切れず流れ続けるデータ」には向いていますが、コンピュータ同士が短いデータを断続的にやり取りする用途には効率が悪く、1つの通信が回線を独占してしまいます。
この課題に対して、1960年代にアメリカのポール・バラン(RAND研究所)とイギリスのドナルド・デイヴィス(英国国立物理学研究所)が、それぞれ独立に「データを小さな単位に分けて送る」という考え方にたどり着きました。データを分割して送る方式そのものを提案したのはバランが先ですが、その単位を指す「パケット(packet = 小包)」という名前を付けたのはデイヴィスです。この考え方は1969年に稼働を始めたARPANET(インターネットの前身)で実際に採用され、現在のインターネットの土台になりました。
なぜこの考え方が使われるようになったのか
パケットに分割して送ると、1本の回線を複数の通信で「時分割」しながら共有できます。Aさんの通信とBさんの通信のパケットを交互に同じ回線に流せるので、回線を独占せず効率よく使えます。また、途中の経路(回線や機器)が故障しても、パケットごとに別の経路へ迂回させることができるため、システム全体が一箇所の故障で止まりにくいという利点もあります。これはもともと、核攻撃などで通信網の一部が破壊されても機能し続けるネットワークを作りたいという、冷戦期の軍事的な研究動機とも関係していました。
もう少し詳しく見てみる
パケットは大きく「ヘッダ」と「データ本体(ペイロード)」から構成されます。ヘッダには送信元と宛先の情報(IPアドレスなど)、パケットの種類、何番目のパケットかを示す通し番号、誤り検出のための情報などが書き込まれています。ネットワーク上の中継機器(ルータ)は、パケットの中身そのものは見ずに、このヘッダだけを見て「次はどちらに転送すればよいか」を判断します。これを1台ずつ次の機器へ送っていく方式を「蓄積交換(ストア・アンド・フォワード)」と呼びます。
パケットのサイズにはトレードオフがあります。1つのパケットを大きくするとヘッダの割合が減って効率は上がりますが、通信エラーで1つでも壊れると再送する量が増えてしまいます。逆に小さくしすぎるとヘッダの割合が増えて非効率になります。そのため、ネットワークごとに送れる最大サイズ(MTU)が決められています。
関連して知っておきたいこと
パケットが届く途中で失われることを「パケットロス」と呼びます。動画がカクついたり、通話の声が途切れたりする原因の多くはこれです。信頼性が必要な通信では、パケットが届いたかどうかを確認して、届いていなければ送り直す仕組み(TCPというプロトコルの役割の一つ)が使われています。
最終更新日:2026-07-23
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