企業活動
会社の組織と経営管理、データから判断する手法、お金の流れを記録する会計を扱います。損益分岐点や財務指標は、数を入れて計算すると式の意味がつかめます。
要点
経営・組織論
- 企業活動と経営資源
- 経営資源はヒト・モノ・カネ・情報。企業理念を軸に、利益だけでなくCSR(企業の社会的責任)も果たす。
- 省電力などで環境に配慮するのがグリーンIT。製品の一生で出るCO₂を示すのがカーボンフットプリント。
- 企業形態
- 株式会社の株主は出資額までしか責任を負わない(有限責任)。合名・合資・合同会社は持分会社。
- 株を証券取引所で誰でも売買できるようにするのが株式公開(IPO)。
- 企業の特徴
- 株主が持ち、経営者が経営する所有と経営の分離。事業を続けていく前提がゴーイングコンサーン。
- 経営を監視する仕組みがコーポレートガバナンス。投資家への情報提供がIR、災害時も事業を続ける計画がBCP。
- 経営管理とは
- 経営目標に向けて経営資源を配分し、PDCAを回す。全社で品質を高める活動がTQM。
- ヒューマンリソースマネジメント
- 仕事をしながら教えるのがOJT。成果を出す人の行動特性をコンピテンシーと呼び、評価や育成に使う。
- 部署を順に経験させるジョブローテーション、新しい仕事に向けた学び直しのリスキリング、人材情報を生かすタレントマネジメント。
- 行動科学
- 衛生理論は、不満を防ぐ衛生要因と意欲を高める動機付け要因を分ける。XY理論は人間観の2つの型。
- 批判せずに数を出すブレーンストーミング、前提を外して発想する水平思考、筋道を立てるロジカルシンキング。
- リスクマネジメント
- 業務が止まったときの影響をBIA(事業影響度分析)で調べ、重要業務を決めてBCPを作る。
- BCPを運用し見直し続ける活動がBCM。規格はJIS Q 22301(ISO 22301)。
- 経営組織
- 機能ごとの職能別組織、製品や地域ごとに利益責任を持つ事業部制組織、2系統の上司を持つマトリックス組織。
- 期間を区切って集めるプロジェクト組織。役職はCEO(経営)、CIO(情報)、CISO(情報セキュリティ)、CFO(財務)など。
- 経営環境の変化
- 不祥事などで評判が落ちるレピュテーションリスク。社会への責任を果たす企業を選んで投資するのがSRI。
- 国際化や在宅勤務・サテライトオフィスなど、働く場所と形が多様になっている。
- ITの進展とそれに伴う社会の変化
- 計算能力とデータ量が増え、AIが進化した。モデルの規模・データ・計算量を増やすほど性能が上がる傾向がスケーリング則。
- 社会の変化とIT利活用の動向
- Society 5.0はサイバー空間と現実空間を融合して社会課題を解く社会。デジタル技術で事業を変えるのがDX。
- 脱炭素に向けて経済と社会を変えるのがGX。人口減少やエネルギー問題の解決にITを使う。
業務分析・データ利活用
- 線形計画法
- 一次式の制約条件の中で、利益などの目的関数を最大(最小)にする。代表的な解き方がシンプレックス法。
- 在庫問題
- 在庫が発注点まで減ったら一定量を頼むのが定量発注方式。決まった周期に必要量を頼むのが定期発注方式。
- 発注点=1日の使用量×調達期間+安全在庫。発注費と保管費の合計が最小になる量がEOQ(経済的発注量)。
- 日程計画
- 作業の順序をアローダイアグラムで描く。最も日数がかかる経路がクリティカルパスで、全体の日数を決める(PERT・CPM)。
- ゲーム理論
- 一方の得が他方の損になるのがゼロ和2人ゲーム。最悪の場合の結果が最もよい手を選ぶのがマクシミン原理。
- IE分析手法
- 作業を観測して時間を測る作業時間分析、基本動作の標準時間を足して求めるPTS法。
- でたらめな時刻に観測して稼働の割合を推定するワークサンプリング法。動作を細かく分ける単位がサーブリック。
- 検査手法
- 一部だけ調べて全体の合否を決める抜取検査。不良率ごとに合格する確率を描いたのがOC曲線。
- 故障率は初期故障・偶発故障・摩耗故障の順に変わり、バスタブ曲線になる。
- 品質管理手法
- QC七つ道具(パレート図・特性要因図・管理図など)は数値を、新QC七つ道具(親和図法・連関図法など)は言葉を整理する。
- 需要予測
- 誤差の2乗の和が最小になる直線を引く最小二乗法。直近の数期の平均で変動をならす移動平均法。
- 業務分析・業務計画
- 大きい順に並べ累積比率で重点を決めるパレート分析(ABC分析)。専門家へのアンケートを繰り返すデルファイ法。
- 乱数で何度も試すモンテカルロ法。選択肢と結果を枝分かれで描き、期待値で比べる決定木。
- データの収集
- 自分で集めた1次データと他者のものを使う2次データ。表に収まる構造化データと、文や画像の非構造化データ。
- そのまま貯める置き場がデータレイク。部署ごとに分かれて連携できない状態がデータのサイロ化。
- データの加工・分析
- 前処理で名寄せ、外れ値・欠損値の処理、標準化を行う。対象分野の知識(ドメイン知識)も要る。
- 一緒に買われやすい組を探すアソシエーション分析。リフト値が1より大きければ関連がある。
- データ分析における統計的手法
- 母集団から標本を選ぶ。単純無作為抽出、層ごとに選ぶ層別抽出、段階を踏む多段抽出がある。
- 選び方の偏りが選択バイアス。人の思い込みによる判断のゆがみが認知バイアス。
- 図表やグラフによるデータの可視化
- 量の比較は棒グラフ、変化は折れ線グラフ、分布は箱ひげ図、2つの量の関係は散布図で表す。
- 起点が0でない棒グラフや立体のグラフは、差を実際より大きく見せる。軸の目盛りを確かめて読む。
会計・財務
- 売上と利益の関係
- 売上に比例する変動費と、比例しない固定費。利益=売上高−変動費−固定費。
- 損益分岐点売上高=固定費÷(1−変動費率)。品切れなどで逃した売上が機会損失。
- 企業会計の手順
- 取引を借方と貸方に分けて仕訳帳に書き、勘定科目ごとに総勘定元帳へ転記する。
- 決算の仕組み
- 試算表で転記を確かめ、精算表を経て財務諸表を作る。子会社を含めて決算するのが連結会計。
- 買収額が相手の純資産を上回った分がのれん。国際的な会計基準がIFRS。
- 財務諸表
- 貸借対照表は決算日の資産=負債+純資産。損益計算書は1期間の収益と費用。現金の出入りはキャッシュフロー計算書。
- 売上総利益−販売費及び一般管理費=営業利益。それに営業外損益を加えると経常利益。
- 財務会計と管理会計
- 株主など外部へ法に沿って報告するのが財務会計、社内の判断に使うのが管理会計。
- ROE=当期純利益÷自己資本、ROA=利益÷総資産、流動比率=流動資産÷流動負債、自己資本比率=自己資本÷総資本。
- キャッシュフロー会計
- 利益が出ていても現金が尽きれば倒産する。営業・投資・財務の3つの活動で現金の増減を見る。
- 資金計画と資金管理
- 必要な資金をいつどこから調達するか計画する。グループの現金をまとめて効率よく回すのがキャッシュマネジメント。
- 資産管理
- 在庫の評価は、先に仕入れた分から払い出す先入先出法、総平均法、移動平均法など。
- 減価償却の定額法は毎年同じ額:(取得原価−残存価額)÷耐用年数。
- リースは長期の契約、レンタルは短期の貸し借り。資産や負債を貸借対照表に載せないことがオフバランス。
さわって確かめる
金額の単位はすべて万円です。結果の欄には、使った式と途中の計算も出ます。
1. 損益分岐点をグラフで見る
固定費を 300 から 500 に変えて、損益分岐点と利益がどう動くかを確かめよう。
丸印(損益分岐点)より左の、売上高と総費用にはさまれた面が損失、右の面が利益。四角の印がいまの売上高。
2. 貸借対照表から財務指標を出す
純資産を 400 から 200 に、固定負債を 350 から 550 に変えて、自己資本比率と ROE の変化を確かめよう。
ここでは自己資本=純資産、総資本=負債+純資産(=資産合計)として計算します。純資産と当期純利益はマイナスも入れられます。
3. 定量発注方式の発注点
現在の在庫を 200 から 140 に減らして、「いま発注する」に変わるかを確かめよう。
3問チェック
最初に選んだ答えで採点します。全問正解で、この単元に「済み」の印が付きます。
-
売上高 2,000万円、変動費 1,200万円、固定費 600万円の会社がある。損益分岐点売上高はいくらか。
- 600万円
- 1,000万円
- 1,500万円
- 1,800万円
答えと解説
正解はウ。変動費率=1,200÷2,000=0.6、損益分岐点売上高=600÷(1−0.6)=1,500万円。1,000万円は固定費を変動費率0.6で割った誤り、1,800万円は固定費と変動費を足しただけの値。
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流動資産 300、固定資産 500、流動負債 200、固定負債 280、純資産 320、当期純利益 48(単位は万円)の会社の ROE(自己資本利益率)は何%か。
- 6%
- 15%
- 40%
- 150%
答えと解説
正解はイ。ROE=当期純利益÷自己資本=48÷320=0.15。6%は総資産800で割ったROA、40%は自己資本比率(320÷800)、150%は流動比率(300÷200)。
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取得原価 500万円、残存価額 50万円、耐用年数 5年の機械を定額法で減価償却する。3年分を償却した後の帳簿価額はいくらか。
- 90万円
- 200万円
- 230万円
- 270万円
答えと解説
正解はウ。毎年の償却額=(500−50)÷5=90万円、3年で270万円なので、帳簿価額=500−270=230万円。90万円は1年分の償却額、270万円は3年分の償却額の合計、200万円は残存価額を引かずに500÷5で計算した誤り。