3-1労働基準法
11月の終わり、こむぎ堂の作業台に、年末のシュトーレンの注文票が積み上がっていました。数えると240本。去年の3倍です。焼き手は店長とパートのヨシノさんの2人しかいません。店長は厨房の壁のシフト表の空欄を指でたたきました。「ヨシノさんに残業をお願いするか、派遣会社から人を呼ぶか」。同じ週には、通販サイトの改修をフリーランスのプログラマに頼むことが決まり、レジに入れる新しいソフトのライセンスも選ばなければなりません。ミナトが相棒に相談すると、こう返ってきました。「誰と、どんな契約を結ぶかで、指示を出せる相手も、完成の責任を負う人も変わるよ。まずは、働く人を守る決まりから見ていこう」
店長がヨシノさんに「今週は毎日10時間お願い」と頼めるかどうかは、店と働く人だけの話し合いでは決まりません。労働時間・賃金・休日など、働く条件の最低限の基準を定めた法律が労働基準法です。この法律の基準を下回る約束は、本人が納得して結んでいても、その部分は無効になります。
労働時間の基準は、休憩を除いて1日8時間、1週40時間です。これを法定労働時間と呼びます。ヨシノさんに1日10時間を週6日頼むと、1週の合計は60時間で、40時間を20時間超えます。この超えた分(時間外労働)や、法律で決まった休日に働いてもらう分は、そのままでは頼めません。
頼めるようにするには、店の労働者の過半数で作る労働組合、それが無ければ労働者の過半数を代表する人と、書面で協定を結び、労働基準監督署に届け出ます。労働基準法第36条に定めがあるので、この協定を36協定(サブロク協定)と呼びます。協定を結んでも、時間外労働には上限があります。原則は月45時間・年360時間で、繁忙期のような臨時の事情があっても、年720時間以内、休日労働を含めて月100時間未満に収めなければなりません。
賃金にも下限があります。国が地域や業種ごとに決める、これより低く払ってはいけない額を最低賃金といい、最低賃金法に基づいています。都道府県ごとに決まる地域別最低賃金のほか、特定の産業に決められるものもあります。最低賃金より低い時給で契約しても、その部分は無効になり、最低賃金と同じ額を約束したものとして扱われます。
働く時間の決め方は、全員が同じ始業・終業の時刻にそろえる形だけではありません。一定の期間(清算期間。3か月以内)の総労働時間を先に決めておき、毎日の始業と終業の時刻は働く人が自分で決める制度をフレックスタイム制といいます。窯の火を入れる時刻が決まっている焼き手には向きませんが、通販の問い合わせや発送の準備を担当する人なら使えそうです。
さらに一歩進めて、仕事の進め方や時間の配分を働く人に大きく任せ、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ労使で決めた時間を働いたものとみなす制度が裁量労働制です。研究開発やシステムの設計のように、法令で決められた専門的な業務を対象にする専門業務型と、会社の中枢で企画・立案・調査・分析をする人を対象にする企画業務型があります。
ここから基本情報!就業規則・解雇・母性保護
労働基準法は、労働時間と賃金のほかにも、働く場のルールを決めています。常時10人以上の労働者を使う使用者は、始業・終業の時刻や賃金の決め方、退職などについて就業規則を作り、労働基準監督署に届け出なければなりません。労働者を解雇するときは、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を払う必要があります。
妊娠・出産する女性の健康を守る決まりをまとめて母性保護と呼びます。出産予定日の6週間前(双子以上なら14週間前)からは、本人が請求すれば休業させなければならず、出産後8週間は原則として働かせられません。妊娠中の人が請求すれば軽い仕事に移す、妊産婦が請求すれば時間外労働や深夜の仕事をさせない、といった決まりもあります。
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3-2雇用契約と働き方
36協定の上限を計算すると、ヨシノさんの残業だけでは240本に届きそうにありません。店長は「12月だけ来てくれる人を募集しよう」と言いながら、求人票の「雇用形態」の欄で手を止めました。「パート、アルバイト、契約社員。どれにすればいいの」
人を雇うとき、店と働く人のあいだで結ばれるのが雇用契約です。働く人は店の指揮命令のもとで働くことを約束し、店はそれに報酬を払うことを約束します。民法では雇用契約、労働の法律では労働契約と呼びますが、指している中身はほぼ同じです。店が仕事のやり方を指示できる、という点が、後で見る請負や委任の契約との大きな違いです。
労働契約がどう成立し、どう変わり、どう終わるかの基本ルールを定めた法律が労働契約法です。労働条件は、働く人と使用者が対等な立場で合意して決めます。客観的に合理的な理由がなく、社会の常識から見て相当といえない解雇は、権利の濫用として無効になります。期間を決めた契約を更新し続け、同じ使用者のもとで通算5年を超えた人が申し込めば、期間の定めのない契約に切り替わる決まり(無期転換ルール)も、この法律にあります。
求人票の欄の呼び名は、主に契約期間と労働時間の違いを表しています。契約期間をあらかじめ決めて雇う形が契約社員(有期雇用)です。12月の1か月だけ来てもらうなら、期間の定めのある契約になります。
正社員より短い時間で働く人はパートタイマ(パートタイム労働者)と呼ばれます。学生などが短い期間や短い時間で働く形は、ふつうアルバイトと呼ばれます。ミナトの働き方がこれにあたります。
ここから基本情報!出向と転籍
雇われた会社とは別の会社で働く形もあります。元の会社との雇用関係を保ったまま、別の会社に移ってその会社の指揮命令のもとで働く形を出向(在籍出向)といいます。元の会社との契約を終わらせて、移った先の会社と新しく雇用契約を結ぶ形は転籍と呼び、出向とは区別します。どちらも、次に見る派遣とは仕組みが違い、出向では働く人と出向先とのあいだにも雇用の関係が生まれます。
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3-3労働者派遣
募集を出して3日たっても、応募はありませんでした。代わりに、派遣会社の営業担当が店に来て言います。「パン工場で働いた経験のある人を、12月の2週間お送りできます」。店長はほっとした顔で聞き返しました。「来てくれたら、うちのやり方で焼いてもらえるんだよね。給料はうちから払うの?」
店長の二つの問いは、どちらも派遣という仕組みの中心を突いています。自分の会社で雇った労働者を、雇ったまま別の会社に送り、送り先の指示のもとで働いてもらう仕組みを労働者派遣といいます。そのルールを定めた法律が労働者派遣法で、正式な名前は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」です。派遣の事業を始めるには、厚生労働大臣の許可を受けなければなりません。
派遣には三者が登場します。働く人を雇い、賃金を払い、社会保険などの雇い主としての責任を負うのが派遣元(派遣元企業)で、ここでは派遣会社です。働く人を受け入れて、毎日の仕事の指示を出すのが派遣先企業(派遣先)で、ここではこむぎ堂です。そして、派遣元に雇われて派遣先で働く人が派遣労働者で、ふだんは派遣社員と呼ばれます。
派遣元と派遣先のあいだで結ぶのが労働者派遣契約(派遣契約)です。何人を、どんな仕事に、いつからいつまで送るかを決めます。店長の問いに答えると、焼き方はこむぎ堂が指示してよく、給料は派遣会社が払います。こむぎ堂は派遣社員と雇用契約を結びません。
ここから基本情報!指揮命令と偽装請負
派遣先が派遣労働者に仕事の進め方を指示する権限を指揮命令(指揮命令権)といいます。派遣では、雇用の関係は派遣元に、指揮命令の関係は派遣先にあります。この二つが別の会社に分かれていることが、派遣の特徴です。
似た形に、仕事の完成を引き受ける請負という契約があります(3-6でくわしく見ます)。請負では、引き受けた会社が自分の作業者に指示を出し、頼んだ側は作業者に直接指示できません。ところが、契約書は請負や業務委託の形なのに、実際には頼んだ側が作業者に直接指示を出して働かせていることがあります。これを偽装請負といい、派遣の許可や派遣労働者を守る決まりをすり抜ける違法な形です。請負かどうかは、契約書の名前ではなく、誰が指示を出しているかを中心とした実態で判断されます。その目安として、厚生労働省は「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」を示しています。
受け入れた派遣労働者を、派遣先がさらに別の会社へ送って働かせることも許されません。これを二重派遣の禁止といいます。こむぎ堂が、来てもらった派遣社員を隣町の洋菓子店に回すと、雇い主でない者が人を送り込む形になり、職業安定法が禁じる労働者供給事業にあたります。
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派遣の中には、派遣期間が終わった後に派遣先がその人を直接雇うことを予定して始める形もあります。これを紹介予定派遣といいます。働く人も派遣先も、実際に一緒に働いてから雇うかどうかを決められます。派遣元は、職業紹介の許可を受けるか届出をしたうえで行います。
3-4その他の労働関連の法律
12月に入ったある朝、生地をこねるミキサーに、派遣で来た人のエプロンのひもが巻き込まれかけました。すぐに止めて、けがはありません。その日の午後には、予約の受け取りが遅れたお客さんが、電話口でヨシノさんを30分も怒鳴り続けました。店長は受話器を置いたヨシノさんの顔を見て、何かしなければと思いました。
働く人の安全と健康を守るための基準を定めた法律が労働安全衛生法です。事業場の規模に応じて安全や衛生の責任者を置くこと、健康診断を行うこと、心の負担の程度を調べるストレスチェックなどを定めています。機械の危ない部分の覆いのような細かい基準は、この法律に基づく省令である労働安全衛生規則に書かれています。ミキサーの事故は、この法律の目で見直すべき出来事です。
職場のいじめや嫌がらせを防ぐ決まりもあります。上司と部下のような優越的な関係を背景に、業務上必要で相当な範囲を超えた言動で、働く人の職場環境を害することをパワーハラスメントといいます。2019年の改正で、事業主にパワーハラスメントを防ぐ措置(相談の窓口を設けるなど)を義務づけた法律が労働施策総合推進法で、パワハラ防止法とも呼ばれます。2026年10月からは、お客さんや取引先などによる、社会の常識を超えた言動から働く人を守る措置も、事業主の義務に加わりました。電話口の30分は、この決まりが想定している出来事です。
ここから基本情報!働く人を守るほかの法律
募集・採用・配置・昇進・退職などで、性別を理由に差別することを禁じた法律が男女雇用機会均等法です。正式な名前は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」で、セクシュアルハラスメントを防ぐ措置も事業主に義務づけています。
子どもを育てる人や家族を介護する人が、仕事を辞めずに続けられるようにする法律が育児・介護休業法(育児介護休業法)です。育児休業・介護休業の取得や、短時間勤務の制度などを定めています。
短い時間で働く人を守る法律はパートタイム労働法と呼ばれてきました。2020年4月からは期間を決めて働く人も対象に加わり、名前も「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(パートタイム・有期雇用労働法)に変わっています。同じ職場の正社員と比べて、基本給や賞与などの待遇に不合理な差をつけることを禁じています。
年齢を重ねても働き続けられるようにする法律が高年齢者雇用安定法です。定年を決めるなら60歳を下回ってはならず、65歳までは、定年の引き上げ・継続して雇う制度・定年の廃止のいずれかで雇用を確保する義務があります。70歳までの就業の機会を確保することは、努力義務になっています。
雇われずに個人で仕事を受けるフリーランスを守る法律もあります。正式な名前は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」で、フリーランス新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)と呼ばれ、2024年11月に施行されました。仕事を頼む事業者に、仕事の内容・報酬の額・支払期日などを書面やメールで示すことや、ハラスメントの相談に応じる体制を整えることなどを求めています。こむぎ堂が通販サイトの改修をフリーランスのプログラマに頼むときにも関わります。
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3-5中小受託取引適正化法
年末の忙しさのさなかに、駅前の大きなホテルから電話がありました。朝食に出すクロワッサンを、ホテルの名前で毎日200個焼いてほしいという依頼です。ありがたい話ですが、条件を書いた紙には「代金は納品月の翌々月末に払う。初回は1割値引き」とあります。店長は首をかしげました。「納めてから2か月以上も待つの?」
大きな会社が小さな事業者に仕事を頼むとき、立場の差を使って、支払いを遅らせたり、後から代金を減らしたりすることがあります。これを防ぎ、仕事を受ける側の利益を守る法律が中小受託取引適正化法です。略して取適法と呼ばれ、正式な名前は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」です。
この法律は新しくできたものではありません。もとは「下請代金支払遅延等防止法」、略して下請法と呼ばれていた法律で、2025年に成立した改正法によって、2026年1月1日から今の名前に変わりました。名前と一緒に用語も改められ、仕事を受ける側の中小の事業者は、下請法の下請事業者から中小受託事業者に呼び名が変わっています。
取適法は、頼む側にいくつもの決まりを課しています。代金の支払期日は、物を受け取った日から60日以内のできるだけ短い期間で決めなければなりません。支払いを遅らせること、受け取った後に理由なく代金を減らすこと、手形で払うこと、受ける側が値上げの話し合いを求めたのにそれに応じずに一方的に代金を決めることなどは、禁止されています。ホテルの条件の「翌々月末払い」は60日を超えるおそれがあり、「初回は1割値引き」も、注文の時点で合意した代金から後で差し引くのであれば、減額にあたります。
ここから基本情報!取適法の対象になる相手と取引
取適法で仕事を頼む側を委託事業者といい、下請法では親事業者と呼ばれていました。ただし、仕事を頼む側なら誰でも委託事業者になるわけではありません。頼む側と受ける側の会社の規模の組み合わせで、この法律が当てはまるかどうかが決まります。
規模を測る基準の一つが、会社の元手として株主などが出したお金の額である資本金です。改正で、常時使う従業員の数による基準も加わりました。資本金の額が基準より大きい会社が、基準以下の会社や個人に頼む場合と、従業員が基準より多い会社が、基準以下の事業者に頼む場合に、この法律が当てはまります。
| 取引の種類 | 委託事業者(頼む側) | 中小受託事業者(受ける側) |
|---|---|---|
| 製造委託・修理委託など | 資本金3億円超 | 資本金3億円以下(個人を含む) |
| 製造委託・修理委託など | 資本金1千万円超3億円以下 | 資本金1千万円以下(個人を含む) |
| 情報成果物作成委託・役務提供委託(一部を除く) | 資本金5千万円超 | 資本金5千万円以下(個人を含む) |
| 情報成果物作成委託・役務提供委託(一部を除く) | 資本金1千万円超5千万円以下 | 資本金1千万円以下(個人を含む) |
| 製造委託・修理委託など | 従業員300人超 | 従業員300人以下 |
| 情報成果物作成委託・役務提供委託(一部を除く) | 従業員100人超 | 従業員100人以下 |
表の「一部を除く」は、プログラムの作成や、運送・倉庫での保管・情報処理のように政令で決められたものを指し、これらは製造委託と同じ行の基準で判断します。資本金10億円のホテルが、個人で営むこむぎ堂にクロワッサンを頼むなら、1行目の組み合わせにあたります。
対象になる取引も決まっています。自社で売る物や自社で使う物の製造を、他の事業者に頼むことが製造委託です。ホテルの名前で出すクロワッサンを焼いてもらうのは、これにあたります。運送やビルの清掃、機械の保守のように、自社がお客さんに提供するサービスの全部や一部を他の事業者に頼むことは役務提供委託です(建設工事の請負は建設業法が扱うので除かれます)。このほか、修理委託、情報成果物作成委託、改正で加わった特定運送委託(売った物をお客さんに届ける運送を頼むこと)があります。
形のある物ではなく、情報として受け渡すものを作ってもらう取引もあります。法律は情報成果物として、プログラム、映画や放送番組のような映像や音声、文字・図形・記号やそれと色を組み合わせたもの(設計図やデザインなど)を挙げています。ソフトウェアの開発を他社に頼む取引の多くは、情報成果物作成委託にあたります。
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3-6民法と契約の種類
通販サイトの改修は、フリーランスのプログラマのアオイさんに頼むことになりました。アオイさんから届いた契約書の見本は2種類あります。1枚目は「年末セールの予約画面を12月10日までに完成させる。代金は完成後に払う」。2枚目は「1月から3月まで、サイトの保守と相談に週10時間あたる。代金は月ごとに払う」。ミナトは2枚を並べて見比べました。
契約とは何か、契約が守られなかったらどうなるかといった、人と人との取引の基本を定めている法律が民法です。民法は、よく使われる契約の型をいくつか用意していて、アオイさんの2枚の見本は、そのうちの別々の型にあたります。
1枚目は、ある仕事を完成させることを約束し、相手がその完成した結果に対して報酬を払う契約で、請負契約といいます。仕事を頼み、報酬を払う側が注文者、仕事の完成を約束して報酬を受け取る側が請負人です。こむぎ堂が注文者、アオイさんが請負人になります。予約画面が完成しなければ、何時間作業しても、約束した報酬を求めることはできません。
ここから基本情報!完成責任と一括請負
請負契約で、請負人が約束した仕事を完成させる義務を負うことを成果物の完成責任(完成責任)といいます。どう作るかは請負人が決め、その代わりに完成までの責任を負います。派遣では、派遣先の指示で働くので、派遣元も派遣労働者もこの責任を負いません。
作る範囲と成果物、代金を最初にまとめて決め、請負人が完成までを一括して引き受ける結び方を一括請負契約といいます。範囲がはっきりしていれば注文者は費用の見通しが立ちますが、途中で範囲が広がると、追加の費用をめぐってもめやすくなります。
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2枚目の見本は、完成を約束していません。約束しているのは、保守と相談という事務を処理することです。契約の締結のような法律上の行為を相手に任せる契約を委任、それ以外の事務を任せる契約を準委任といい、二つをまとめて準委任契約(委任契約)と呼ぶことが多くあります。システムの保守や運用の支援、相談への対応は、多くが準委任契約で結ばれます。報酬は、作業した期間や時間に対して払うのがふつうです。
ここから基本情報!完成責任の代わりに負う義務
準委任契約を引き受けた人は、完成の責任を負わない代わりに、その職業や立場の人に通常期待される水準の注意を払って事務を処理する義務を負います。民法の言葉では「善良な管理者の注意」で、これを略して善管注意義務といいます。アオイさんが保守の担当として、明らかな不具合を放っておけば、この義務に反したことになります。
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ここまでの契約を、誰が働く人に指示を出すか、完成の責任を誰が負うかで並べると、違いがはっきりします。
| 契約 | 働く人に指示を出すのは | 仕事の完成の責任 | 報酬が払われる対象 |
|---|---|---|---|
| 雇用契約 | 雇った会社 | 負わない | 働いたこと |
| 労働者派遣契約 | 派遣先 | 負わない | 派遣先は派遣元に、派遣元は働く人に払う |
| 請負契約 | 請負人(注文者は指示できない) | 請負人が負う | 完成した仕事の結果 |
| 準委任契約 | 引き受けた側 | 負わない(善管注意義務を負う) | 事務の処理 |
請負で完成したものが、約束どおりでなかったらどうなるのでしょうか。予約画面ができ上がったのに、注文した数が12月20日以降の日付で保存されない、といった場合です。2020年4月に施行された改正民法では、引き渡された物や仕事の結果が、種類・品質・数量について契約の内容に合っていないとき、売った側や請負人が負う責任を契約不適合責任と呼びます。注文者は、直してもらうこと(追完)、報酬を減らすこと、損害の賠償、契約の解除を求めることができます。種類や品質が合っていないときは、そのことを知った時から1年以内に相手に知らせる必要があります。
ここから基本情報!改正前の言い方
改正前の民法では、物や成果物が本来備えているべき品質や性能を欠いている欠陥を瑕疵(かし)と呼んでいました。そして、引き渡した物や仕事の結果に瑕疵があったときに、売った側や請負人が負う責任を瑕疵担保責任と呼んでいました。2020年4月の改正民法の施行で、瑕疵担保責任は契約不適合責任に改められています。「隠れた欠陥かどうか」ではなく、「契約の内容に合っているかどうか」で判断するように考え方が変わりました。
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システム開発の契約書では、成果物の欠陥(瑕疵)について請負人が責任を負う期間を、改正前の言い方のまま瑕疵担保期間と書いたものが今も見られます。たとえば「納品から1年」のように、期間を契約で決めておきます。改正後は、契約不適合責任を負う期間と書くのが今の言い方です。民法では、注文者が不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に知らせないと、責任を問えなくなります(第637条)。
民法のほかに、商売をする人どうしの取引のルールを定めた商法もあります。商法にある契約の一つが匿名組合契約です。出資する人(匿名組合員)が、営業する人の事業にお金を出し、その事業から生まれた利益の分配を受けます。出資した人は事業の運営には加わらず、営業する人の取引について第三者に対して権利も義務も持ちません。外から見えるのは営業する人だけ、という形です。常連のお客さんが「新しいオーブンの代金を出すから、売上が増えた分を少し分けて」と申し出たなら、この形で結ぶことも考えられます。投資型のクラウドファンディングにも使われています。
3-7消費者とネット取引の法律
新しい予約画面が動き出した初日、お客さんからメールが届きました。「シュトーレンを1本のつもりが、11本で注文されていました」。同じ日、店長はSNSでフォロワーの多い人にシュトーレンを無料で送り、「広告とは書かずに紹介してもらえば、自然に見えて売れるかも」と言い出しました。
ここから基本情報!ネットでの操作ミス
ネットで買い物をする消費者が、キーやボタンの操作を誤って、意図しない申込みをしてしまうことがあります。こうした操作ミスから消費者を守る法律が電子消費者契約法です。正式な名前は「電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律」で、2020年4月に今の名前になりました(それまでは「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」)。
民法では、勘違いによる申込みでも、本人に重大な不注意があれば取り消せません。この法律はその例外で、店が申込みの内容を確かめる画面を用意していなかったなら、操作ミスによる申込みは、消費者に重大な不注意があっても取り消せます。こむぎ堂の予約画面に「この内容で注文しますか」という確認画面がなければ、11本の注文は取り消されても文句は言えません。
基本情報の範囲ここまで
訪問販売・通信販売・電話勧誘販売など、消費者がトラブルにあいやすい取引の形を決めて、事業者が守るルールを定めた法律が特定商取引法で、略して特商法とも呼ばれます。正式な名前は「特定商取引に関する法律」です。ネット通販は通信販売にあたり、広告には販売価格や送料、支払いの時期と方法、返品の条件、事業者の名前や住所などを表示しなければなりません。通販サイトでよく見る「特定商取引法に基づく表記」のページは、このためのものです。
ここから基本情報!契約を後から解除できる制度
訪問販売や電話勧誘販売などでは、契約の書面を受け取ってから一定の期間内であれば、消費者が理由を問わず、書面やメールなどで申込みを撤回したり契約を解除したりできます。この制度がクーリングオフで、訪問販売では書面を受け取った日から8日間です。不意を突かれて冷静に判断できなかった消費者に、考え直す時間を与えるための制度です。
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店長のSNSの案は、別の法律に関わります。商品やサービスの品質を実際より著しくよく見せる表示(優良誤認)や、価格などの条件を実際より著しく得に見せる表示(有利誤認)、度を越えて高価な景品で客を集めることを規制する法律が景品表示法です。正式な名前は「不当景品類及び不当表示防止法」です。「北海道産小麦100%」と書いて実は半分だけなら、優良誤認にあたります。
事業者の広告なのに、広告であることを隠して、第三者が自分の意思で勧めているように見せる宣伝をステルスマーケティング(ステマ)といいます。2023年10月から、ステルスマーケティングは景品表示法が禁じる不当な表示にあたるようになりました。無料で送ったシュトーレンを紹介してもらうなら、店が頼んだ広告だと分かるように書いてもらう必要があります。ここで責任を問われるのは、紹介した人ではなく、広告を出した事業者であるこむぎ堂です。
こむぎ堂は、自分の通販サイトのほかに、大きなオンラインモールにも店を出しています。モールの出店の規約や、検索結果の並び順の決め方が、ある日突然変わったら、小さな店は困ります。大規模なオンラインモールやアプリストアなどの運営者を国が指定し、取引条件の開示や、運営の状況の報告を求める法律がデジタルプラットフォーム取引透明化法で、正式な名前は「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」です。2021年2月に施行されました。
取引の公正さを、もっと広く守る法律もあります。事業者どうしの公正で自由な競争を守るため、ほかの事業者を締め出して市場を支配すること(私的独占)、競争相手と価格などを申し合わせること(カルテルなどの不当な取引制限)、不公正な取引方法を禁じる法律が独占禁止法です。正式な名前は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」で、公正取引委員会が運用しています。商店街のパン屋が集まって「来月から食パンは全店で1斤400円にしよう」と決めれば、カルテルにあたります。
3-8資金決済法
レジの横で、常連のお客さんがスマートフォンを見せて聞きました。「この店、ビットコインで払えないの?」。店長は笑って首を振り、ミナトに向き直ります。「先にお金を入れておく、うちだけのプリペイドカードなら作れるかな」
銀行以外の会社が提供するお金のやり取りのサービスについて、利用者を守るためのルールを定めた法律が資金決済法です。正式な名前は「資金決済に関する法律」で、前払いのカードや電子マネー、銀行以外の会社による送金(資金移動業)、暗号資産の交換などを対象にしています。
先に代金を払って手に入れ、後で商品やサービスの支払いに使えるものを前払式支払手段といいます。商品券、プリペイドカード、チャージして使う電子マネーなどがあたります。発行する店だけで使えるもの(自家型)と、加盟した別の店でも使えるもの(第三者型)があります。第三者型は発行する前に登録が必要で、自家型も、使われずに残った額が基準の額を超えると届出が必要になります。残った額が基準を超えた発行者は、その半分以上を供託などで保全しなければなりません。店長の考えている「こむぎカード」は、自家型の前払式支払手段です。
ビットコインのような暗号資産の売買や交換、その仲立ちや、利用者の暗号資産を預かって管理することを事業として行うのが暗号資産交換業です。資金決済法では、内閣総理大臣の登録を受けなければ営めません(実際の窓口は金融庁です)。なお、2026年7月に成立した改正法により、暗号資産の扱いは、公布から1年以内(2027年7月まで)に、株式や債券などの取引のルールを定めた金融商品取引法に移る予定です。
3-9企業間の契約
予約画面の不具合を直すため、アオイさんが「実際の注文データを見せてもらえますか」と言いました。そこには、お客さんの名前も電話番号も入っています。ミナトは画面を共有する前に手を止め、相棒に聞きました。「見せてもいいのかな。見せるなら、その前に何か約束しておくべき?」
仕事を通じて知った秘密を、ほかに漏らしてはならない義務を守秘義務といいます。店で働く人が、お客さんの住所や仕入れ値を外で話さないのも、この義務によるものです。法律が直接課している場合のほか、就業規則や契約で決めることもあります。
店の外の人に秘密を見せるときは、契約で守秘義務を約束してもらいます。取引の当事者のあいだで、知った秘密の情報を第三者に漏らさないことや、目的以外に使わないことを取り決める契約を守秘義務契約といいます。英語の Non-Disclosure Agreement を略してNDAとも、秘密保持契約とも呼ばれます。秘密にする情報の範囲、使ってよい目的、終わったら返すか消すか、漏れたときの責任などを決めます。ふつうは、本格的に取引を始める前、相手に秘密を見せる前に結びます。
ここから基本情報!仕事を外に頼むときの契約
業務の一部を社外の事業者に任せるときに結ぶ契約を外部委託契約といいます。任せる範囲、責任の分け方、秘密の扱い、受けた事業者がさらに別の事業者に仕事を回すこと(再委託)を認めるかどうかなどを決めます。結ぶときには、ここまでに見た取適法やフリーランス新法、偽装請負にならないことなど、関係する法律にも気を配ります。
そのうち、ソフトウェアの開発を頼むときに結ぶ契約がソフトウェア開発契約です。作る範囲、納期、できたものを確かめて受け取る検収の条件、作ったプログラムの著作権などの権利がどちらのものになるかを決めます。契約の形は、工程によって請負と準委任を使い分けることが多く、経済産業省は、その結び方の手本として情報システム・モデル取引・契約書を公表しています。アオイさんとの2枚の契約書も、完成を約束する工程は請負、保守と相談は準委任、と分けた形になっています。
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3-10ソフトウェアの使用許諾
レジを新しくするため、ミナトはレジのソフトの販売ページを開きました。「買い切り 1台分」「月額 3台まで」「店舗まとめて契約」と、値段の書き方がいくつもあります。店長がのぞきこんで言いました。「お金を払うんだから、買ったソフトはうちのものでしょう?」
店長の思い込みは、半分だけ当たっています。ソフトウェアを買っても、そのソフトウェアの著作権は作った会社に残ります。手に入るのは、決められた条件のもとでソフトウェアを使ってよいという権利で、これを使用権といいます。そして、権利を持つ会社が、著作権を手放さないまま、利用者に使い方の条件や範囲を示して使うことを許す契約が使用許諾契約(ライセンス契約)です。インストールの途中で表示される「使用許諾契約書」に同意するのは、この契約を結んでいることになります。
許す条件の決め方によって、いくつもの形があります。同じソフトウェアをたくさんの台数に入れる組織向けに、まとめて買うことで、1本ずつ買うより有利な条件で多くのライセンスを手に入れる契約がボリュームライセンス契約です。学校や会社などの組織が、決めた範囲(敷地や組織の中)で使う台数や人数に応じて、一括で使用権を得る契約がサイトライセンス契約です。どちらも、まとめて契約して手間と費用を抑えるという点は共通していて、ボリュームライセンス契約は「本数をまとめて買う」、サイトライセンス契約は「場所や組織の単位で許してもらう」ところに重点があります。
レジのソフトには、店のサーバに注文や売上を集め、各レジの端末がそこにつないで使う形のものもあります。このとき、サーバのソフトのライセンスとは別に、サーバにつなぐ端末や利用者の数だけ必要になる利用の許諾をCAL(Client Access License)といいます。レジを3台つなぐなら、3台分のCALが要る、という数え方です。
買い切りではなく、一定の期間ごとに利用料を払って使い続ける契約の形がサブスクリプションです。「月額 3台まで」がこれにあたり、払うのをやめれば使えなくなる代わりに、最初の費用が小さく、新しい版にも追加の費用なしで更新されることが多くあります。ソフトウェアを使い始めるとき、正規のライセンスを持っているかをネットワーク経由で確かめて使える状態にする手続きをアクティベーションといい、1つのライセンスが許された台数を超えて使われるのを防ぎます。
ここから基本情報!パッケージの契約と組織での管理
箱に入って売られているソフトウェアでは、包装のフィルム(シュリンクラップ)を破って開けた時点で、中のソフトウェアの使用許諾の条件に同意したとみなす形があります。これをシュリンクラップ契約といいます。店で契約書に署名しなくても契約が結べるようにした方法で、条件は箱の外から読めるように示しておくことが前提になります。
組織の中でソフトウェアが勝手にコピーされたり、許された台数を超えて使われたりしないように、組織としての管理の仕方を示した指針がソフトウェア管理ガイドラインです。通商産業省(いまの経済産業省)が示したもので、企業の中での不正なコピーを防ぎ、ソフトウェアを適正に使うための管理の進め方をまとめています。
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3-11フリーソフトウェアとOSS
アオイさんの作った予約画面には、カレンダーを表示するプログラムが組み込まれていました。「これは世界中の人が作っているオープンソースのプログラムなので、お金はかかりません」とアオイさんは言います。ミナトは相棒に聞きました。「無料なら、どう使ってもいいってこと?」。相棒の返事は「お金と、使い方の自由は、別の話だよ」でした。
利用者が自由に使い、中身を調べ、改変し、コピーして配ることを許して提供されるソフトウェアをフリーソフトウェアといいます。「フリー」は「自由」の意味で、作者は著作権を放棄せずに持ったまま、その権利を使って利用者に自由を認めています。そのため、無料とは限らず、お金を取って配ることもできます。日本では無料で配られるソフト全般を「フリーソフト」と呼ぶことも多く、二つの意味を取り違えやすい語です。
ここから基本情報!試してから払うソフトウェア
決まった期間や一部の機能は無料で試せて、使い続けるなら代金を払う、という形で配られるソフトウェアをシェアウェアといいます。試してから買えるのが利点で、試用の期間が過ぎた後も使うなら、作者に代金を払う決まりです。
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権利の面でいちばん縛りの少ないのが、著作権が放棄されたか、保護期間が切れて、誰の著作権も及ばなくなったソフトウェアで、パブリックドメインソフトウェアといいます。誰でも、自由に使い、改変し、配ることができます。
アオイさんの言うオープンソースソフトウェア(OSS)は、ソースコードが公開されていて、決められたライセンスの条件を守れば、誰でも使い、改変し、再配布できるソフトウェアです。パブリックドメインと違って著作権は作者にあり、「条件を守れば」の部分が、ミナトの問いへの答えになります。無料で使えても、どう使ってもよいわけではありません。
ここから基本情報!OSSの条件とライセンスの種類
どんなソフトウェアならオープンソースと呼べるのかは、Open Source Initiative(OSI)という団体がまとめたオープンソースの定義(OSD:The Open Source Definition)が示しています。再配布を自由に認めること、ソースコードを入手できること、改変したもの(派生物)を同じ条件で配ることを認めること、特定の人や団体、使う分野を差別しないことなど、10の条件が並んでいます。
OSSの作者が、使う人に示す利用の条件をOSSライセンスといいます。代表的なものがGPL(General Public License)で、GPLのソフトウェアを改変したり組み込んだりして配るときは、そのソフトウェア全体を同じGPLの条件で配り、受け取った人がソースコードを手に入れられるようにしなければなりません。作者の権利を使って、改変した後のソフトウェアにも同じ自由を引き継がせるこの考え方をコピーレフト(Copyleft)といいます。
GPLの条件を、ライブラリ(ほかのプログラムから呼び出して使う、機能ごとにまとめたプログラム)向けに緩めたものがLGPL(Lesser General Public License)です。LGPLのライブラリを呼び出して使うだけのプログラムなら、そのプログラム自身のソースコードを公開する義務はありません。ライブラリそのものを改変して配るときは、改変したライブラリのソースコードを公開します。このほか、著作権の表示を残せば改変したものを公開しなくてよい、BSDライセンスやMITライセンスのような緩やかなライセンスもあります。予約画面のカレンダーのプログラムがどのライセンスかによって、こむぎ堂がサイトのプログラムを配るときの義務が変わります。
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ここまでのソフトウェアを、著作権を持つ人、払うお金、改変して配れるかで比べると、次のようになります。
| 種類 | 著作権を持つ人 | 払うお金 | 改変して配れるか |
|---|---|---|---|
| 使用許諾契約で使うソフトウェア | 作った会社 | 買い切り・まとめ買い・期間ごとの利用料など | ふつうはできない |
| フリーソフトウェア | 作者 | 無料とは限らない | できる |
| オープンソースソフトウェア | 作者 | 多くは無料 | ライセンスの条件を守ればできる |
| パブリックドメインソフトウェア | いない(放棄・期間切れ) | 無料 | できる |
12月23日の夜、こむぎ堂の厨房では最後のシュトーレンが窯から出てきました。ヨシノさんの残業は、結んで届け出た36協定の上限の内に収まりました。派遣会社とは派遣契約を結び、来てもらった人にはこむぎ堂が焼き方を指示しました。アオイさんとは、予約画面の完成は請負、年明けの保守は準委任と、2枚の契約を分けて結び、注文データを見せる前にNDAも交わしています。予約画面には確認画面が付き、11本の誤注文は1本に直りました。240本の注文は、すべて焼き上がりました。店長は粉だらけのエプロンを外しながら、ミナトに言いました。「来年は、レジのソフトのライセンスも、もう少し早く決めようか」