ゲームのつくり方ラボ 制作ノート

1文のゲームの依頼が形になるまでを紹介した動画を見て、その工程を授業で体験できる教材に作り直しました。このページは、何をもとに、何を作り、何を確かめたかの記録です。

元になった動画

もとにしたのは、X に投稿された約2分の動画です(投稿者:550 Atelier、投稿へのリンク)。宇宙で戦うシューティングゲームを作ってほしい、という短い依頼が、遊べるゲームに仕上がるまでの工程を、作り手の目線で順に見せています。

工程は、依頼に書かれていない仕様を補う、灰色の四角だけで遊びを試す、難しさを調整する、形と色に役割を持たせる、動きと画面の揺れで手ごたえを足す、音を足す、何度も遊んで直す、の順です。そのうえで、面白いかどうかを最後に決めるのは人だ、という立場を示しています。

この教材で使ったのは、工程の考え方だけです。映像・字幕・キャラクタは使っていません。ラボの出典には、グレーボックスによる試作、チクセントミハイのフロー理論、Steve Swink『Game Feel』といった一般的な考え方を挙げています。

情報Iの単元との対応

ゲーム作りの工程は、ほとんどがそのまま情報Iの単元に重なります。

ゲーム作りの工程単元授業での問い
書かれていない仕様を決める問題解決・要件定義1文の依頼から、決めないと作れないことは何か
四角だけで試すモデル化・試作見た目を作る前に、何が分かれば先へ進めるか
難しさを調整する問題解決(評価)「ちょうどよい難しさ」を記録から見るには
形と色に役割を持たせる情報デザイン色だけで区別して、全員に伝わるか
手ごたえと音を足すプログラミング同じ処理でも、見せ方で感じ方はどう変わるか
テストして直すデータの活用記録から、どこを直すべきかを決める

できた教材:段階0〜6

1本の横スクロールのシューティングを、段階を切り替えながら育てていきます。どの段階にも「この段階で考えること」と、「AIに頼むなら、どう書く?」の記入欄があります。AIに丸投げせず、一緒に作るときに自分が何を決めたいのかを言葉にするための欄です。

  1. 依頼の1文要件定義

    「宇宙を飛ぶシューティングゲームを作って」から、操作・勝ち負け・遊ぶ端末などをカードで決めます。決めていない項目は「作る側が勝手に決めた」と表示されます。

  2. 四角だけ試作

    自機も敵も弾も灰色の四角で遊び、それだけで面白いかを確かめます。

  3. 難しさ評価

    敵の速さ・弾の数・当たり判定のつまみを動かし、自分の記録が「不安・夢中・退屈」のどこにあるかを図で見ます。図の点は記録から計算した目安で、気持ちを測ったものではありません。

  4. 形と色情報デザイン

    形と色の役割をオン・オフし、色覚の見え方の切替(目安)で、色だけの区別が伝わらない場合を体験します。ここで四角が絵に変わります。

  5. 手ごたえプログラミング

    タメ・画面の揺れ・ヒットストップ・粒子・フラッシュを1つずつオン・オフします。

  6. 音プログラミング

    その場で合成した効果音で、毎回同じ音と、少しずつ音程を変える音を聞き比べます。

  7. テストデータの活用

    当たった位置と波ごとのミスをグラフで見て、つまみを1つだけ変えて前回と比べます。2つ以上変えると、どれが結果を変えたのかは分からない、と注意が出ます。

段階3で使う色の役割

動いている画面の中で、自分・敵・よけるものを一瞬で見分けられるよう、色に役割を持たせています。色だけに頼らず、形でも区別します。

自機は暖色
だいだい・クリーム色。画面のどこにいても自分だと分かるようにします。
敵は寒色
青・水色・紫。自機と並べたとき、ひと目で区別できるようにします。
背景は暗め
役割のある色をいちばん目立たせるために、背景は引きます。

授業での使い方(50分×2コマ)

1コマ目 段階0〜3

  • 依頼の1文から仕様を決める(10分)
  • 四角で遊び、難しさのつまみを動かす(20分)
  • 形と色、見え方の切替(15分)
  • 「AIに頼むなら」を書く(5分)

2コマ目 段階4〜6

  • 手ごたえを1つずつ足す(15分)
  • 音を聞き比べる(10分)
  • テストして1か所だけ直す(20分)
  • ワークシートでふりかえる(5分)

時間配分は目安で、まだ授業では試していません。ワークシートは、記入を差し込まなければA4で2枚です。各段階に110字以上書くと3枚、300字で4枚になります。何枚になるかは、印刷の前にワークシートの画面に出ます。

作り方と分担

発想と判断は人、実装はAI、という分け方で、AIと一緒に作りました。

担当したこと
サイトの運営者動画を見て、教材にすると決めました。段階の構成、絵を入れること、公開するかどうかを判断しました。
AI(Claude)動画の工程を読み取って仕様にまとめ、ゲームとワークシートを作りました。生徒の立場で遊んで不具合を探し、見つかったものを直しました。
画像生成AI自機・敵・ボスのドット絵を描きました。

確かめたこと・まだのこと

確かめたこと

  • 本文の文字は16px以上、文字と背景のコントラストは4.5:1以上です。幅375pxのスマートフォンでも横にはみ出さず、ボタンなどの押す所は44px以上あります。
  • 段階0〜6の切替は、すべて画面の見え方が変わることを確かめました。
  • 光の点滅に配慮しています。フラッシュは最初は切ってあり、オンにしても0.4秒に1回より多くは光りません。端末で「動きを減らす」設定にしている人には、画面の揺れを最初から切っておき、オンにしても弱めにします。
  • 決めたこと・遊んだ記録・記入欄の内容は、その端末のブラウザの中にだけ保存します。どこにも送りません。

まだのこと

  • 授業ではまだ試していません。時間配分は目安です。
  • 効果音を耳で聞き分けられるか(音の高さの値でしか確かめていません)。
  • 実際のスマートフォンでの操作のしやすさ(パソコンでスマートフォンの操作をまねて確かめただけです)。

ゲームのつくり方ラボに戻る