システム戦略
経営戦略を実現するために、情報システムをどう作り、どう使うかを決めます。全体最適の考え方、業務改善の手法、クラウドなどのサービスの選び方を押さえます。
要点
情報システム戦略
- 情報システム戦略の目的と考え方
- 情報システム戦略は、経営戦略を実現するためのITの使い方の方針。実行した結果は情報システム戦略評価で確かめる。
- 情報システム戦略の策定手順
- 現行の業務とシステム(As-Is)、IT動向を調べて基本戦略を決める。新しい全体像(To-Be)と投資対象を選び、承認を得る。
- 情報システム化基本計画
- 目指す将来像を中長期の計画にまとめる。情報セキュリティ方針や、標準化・品質の方針も含める。
- 戦略遂行のための組織体制
- 情報システムの責任者がCIO、デジタル化を率いる責任者がCDO。全社で方針を決める場が情報システム戦略委員会。
- 情報システム投資計画
- 経営戦略に合うかを見て、影響・効果・期間・実現性から複数の案を比べて決める(IT投資マネジメント)。
- 個別の開発計画
- 基本計画に沿い、優先順位を付けて個別の開発計画を立てる。業務の中心を担うのが基幹系システム。
- 経営資源を一元管理するERP、供給の流れを最適にするSCM、顧客との関係を管理するCRM、知識を共有するKMS。
- モデル
- 企業経営を、ビジネスモデル(どう稼ぐか)、業務モデル、情報システムモデルの段階に分けて表す。
- エンタープライズアーキテクチャ
- EAは組織全体の業務とシステムを同じ手法でモデル化し、全体最適を図る手法。現状のAs-isモデルと理想のTo-beモデルを描く。
- 体系を4つに分けて整理する。枠組みの例にザックマンフレームワークがある。
- ビジネスアーキテクチャ
- BAは組織の目標と業務を体系化する。業務説明書、DFD、業務流れ図(WFA)で表す。
- データアーキテクチャ
- DAは業務に必要なデータの構成と関連を体系化する。E-R図やデータ定義表で表す。
- アプリケーションアーキテクチャ
- AAは業務とアプリケーションの関係を体系化する。情報システム関連図や機能構成図で表し、SOAの考え方を使う。
- テクノロジアーキテクチャ
- TAは業務を支えるハードウェア・ソフトウェア・ネットワークの技術を体系化する。それぞれの構成図で表す。
- プログラムマネジメント
- 互いに関係する複数のプロジェクトの集まりがプログラム。全体の価値が最大になるよう調整するのがプログラムマネジメント。
- フレームワーク
- IT統制の枠組みのCOBIT、運用のITIL、取引の共通の物差しの共通フレーム。目標をKGI、途中の達成度をKPIで測る。
- 品質統制
- システムが標準に沿っているかを続けて監視し、品質を保つための組織・体制・活動。
- 情報システム戦略実行マネジメント
- 戦略の実行状況をモニタリング指標で見て、計画との差異分析をし、リスクに対応する。
業務プロセス
- 業務プロセスの改善と問題解決
- 業務を根本から作り直すのがBPR。業務の流れをモデルにして実行・監視し、改善し続ける仕組みがBPMS。
- 定型のパソコン操作をソフトウェアのロボットに任せるのがRPA。業務ごと外部に任せるのがBPO(海外へならオフショア)。
- 申請と承認の流れを電子化するワークフローシステム、営業を支えるSFA。業務を可視化→標準化→自動化の順に進める。
ソリューションビジネス
- ソリューションビジネス
- 顧客の経営課題を探り、解決策を提案して提供する事業。製品を組み合わせてシステムを作るのがシステムインテグレーション。
- ソリューションサービスの種類
- 事業者の環境を使うSaaS・PaaS・IaaSと、自社で持つオンプレミス。パブリック・プライベート・ハイブリッドのクラウドがある。
- 自社の機器を事業者の施設に置くのがハウジング、事業者の機器を借りるのがホスティング。まずクラウドを検討する方針がクラウドバイデフォルト。
- データを自国の法律の下で管理するのがソブリンクラウド。クラウドで動かす前提で作るのがクラウドネイティブ。
システム活用促進・評価
- 活用促進と評価の目的と考え方
- 作った後も活用を促し、利用実態を評価して改善し続ける。私物の端末を仕事に使うBYODやチャットボットの導入も方針を決めて進める。
- デジタルリテラシー
- デジタル技術を安全・有効に使う力を社員が身につける。ITリテラシー、メディアリテラシー、セキュリティ意識を含む。
- 普及啓発
- マニュアル・e-ラーニング・講習会で使い方を広める。ゲームの要素で意欲を高めるのがゲーミフィケーション。
- 使える人と使えない人の間に生まれる格差がデジタルディバイド。教育で縮める。
- 情報システム利用実態の評価・検証
- ログ分析で利用状況や性能を把握し、改善の方向と目標をはっきりさせる。
- 情報システム廃棄
- 機能・性能・コストから寿命と判断したら廃棄し、新しいシステムを検討する。廃棄するときはデータの消去を確実に行う。
さわって確かめる
クラウドの責任範囲、業務改善の手法、EAの体系を、次の3つで確かめます。
1. クラウドで利用者が管理する層
PaaSを選び、利用者が管理する層だけを押して「利用者が管理」にしてから、答え合わせをしよう。
層(上が利用者に近い。押すと、管理する人が切り替わる)
2. 業務改善の手法を仕分ける
6つの改善の例が、BPR・BPMS・RPA・BPO・ワークフローシステム・SFAのどれに当たるかを選ぼう。
- 毎日、表計算ソフトの数値を基幹システムの画面へ手で写していた作業を、ソフトウェアのロボットに自動で行わせる。
- 受注から出荷までの業務を、部署の区切りをなくすように根本から設計し直した。
- 給与計算の業務を、まるごと専門の外部企業に委託した。
- 経費の申請を紙から画面に移し、上司の承認が済むと自動で経理へ回るようにした。
- 業務の流れをモデルとして実行・監視し、測った結果をもとに改善を続ける仕組みを入れた。
- 営業担当者の訪問記録や商談の進み具合をみんなで共有し、営業活動を効率化する。
× の付いた所の理由を読んで、選び直してみよう。
3. EAの4つの体系に仕分ける
6つの作業が、ビジネス・データ・アプリケーション・テクノロジのどのアーキテクチャに当たるかを選ぼう。
- 業務の流れを、DFDや業務流れ図で整理する。
- 業務で扱う「顧客」「注文」「商品」の関係を、E-R図で表す。
- どの業務をどのアプリケーションが担うかを、情報システム関連図にまとめる。
- サーバとネットワーク機器のつながりを、構成図にまとめる。
- 業務説明書で、組織の目標と業務の内容を書き出す。
- データ定義表で、項目の名前・型・桁数を全社でそろえる。
× の付いた所の理由を読んで、選び直してみよう。
3問チェック
最初に選んだ答えで採点します。全問正解で、この単元に「済み」の印が付きます。
-
PaaSを使ってWebアプリケーションを公開する。利用者が管理する範囲として適切なものはどれか。
- データだけ
- アプリケーションとデータ
- OS・ミドルウェア・アプリケーション・データ
- ハードウェアからデータまですべて
答えと解説
正解はイ。PaaSでは、OSや実行環境(ミドルウェア)までを事業者が用意し、利用者は自分のアプリケーションとデータを管理する。アはSaaS、ウはIaaS、エはオンプレミスの範囲。
-
毎月、複数のWebサイトから決まった項目を写し取り、表計算ソフトに貼り付けて集計している。業務の流れは変えずに、この定型の操作を自動にしたい。最も適したものはどれか。
- BPR
- BPO
- RPA
- SFA
答えと解説
正解はウ。RPAは人がパソコンで行う定型の操作を、ソフトウェアのロボットに代わりに行わせる。BPRは業務を根本から作り直すので「流れは変えない」に合わない。BPOは業務を外部に委託すること、SFAは営業活動を支えるシステム。
-
自社で買ったサーバを、事業者のデータセンターに置かせてもらい、電源・空調・回線の提供を受けるサービスはどれか。
- ハウジングサービス
- ホスティングサービス
- SaaS
- オンプレミス
答えと解説
正解はア。機器が自社の物で、置き場所だけを借りるのがハウジング。ホスティングは事業者の機器を借りる。SaaSはアプリケーションまでを事業者が用意する。オンプレミスは自社の施設に自社で置く形。