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中分類18 大分類:システム戦略 ストラテジ系

システム企画

システムを作ると決めてから開発を頼むまでに、何のために作るかを計画し、要件を決め、発注先を選びます。発注する側が書く文書と、投資に見合うかの計算がこの単元の中心です。

発注側がシステム化計画、要件定義、RFI、RFPの順に進め、受注側から提案書が返ってきて、最後に契約を結ぶ流れを、発注側と受注側の2段に分けて描いた図
図:システム化計画から契約までの流れ

要点

システム化計画

システム化構想の立案
経営戦略に沿って、システム化の目的と成果、対象業務、目標とする業務の全体像を決め、承認を得る。
記録を正確に残すSoR、顧客とのつながりを作るSoE、データから気付きを得るSoIに分けて考える。
業務の側をパッケージの標準機能に合わせ、追加開発を減らすのがFit to Standard。
システム化計画の立案
課題を定義して対象業務を調べ、全体システム化計画と個別システム化計画にまとめる。
適用範囲、開発スケジュール、推進体制、要員教育計画、開発投資対効果、導入のリスクを書く。
複数のIT投資を、効果とリスクの組み合わせで分けて配分を決めるのがITポートフォリオ。

要件定義

要求分析
現状を分析して課題を定義し、インタビューやアンケートで利用者の要求を集める。
インタビューは、質問を全部決める構造化、大枠だけ決める半構造化、自由に聞く非構造化。
前提・制約条件と実現可能性を確かめ、新しい業務フローを要求仕様書にまとめる。
要件定義の目的
業務全体の枠組みと、システム化の範囲・機能を決める。後の設計と見積りは、ここで決めた内容をもとに進める。
要件の定義
業務で実現すべきことが業務要件、それを実現するためにシステムが持つ働きが機能要件。
応答時間・信頼性・セキュリティ・移行など、機能以外の品質や条件が非機能要件。
利害関係者ごとに、求める内容も重みも違う。だれの要求かを記録して調整する。
要件定義の手法
構造化分析は処理とデータの流れをDFDで描く。オブジェクト指向分析はUMLで描く。
条件と動作の組み合わせを表にするのが決定表。データを先に整理するのがDOA。
利害関係者要件の確認
要件の実現可能性・妥当性・戦略との整合を検証し、ステークホルダの合意と承認を得る。
話し合いを中立の立場で進め、合意へ導く技術がファシリテーション。

調達計画・実施

調達と調達計画
製品の購入・社内開発・外部委託から選ぶ。自社で作るか外に頼むかの判断のよりどころが内外作基準。
導入後もライセンス管理で資産をつかみ、ソフトウェアのサプライチェーン(組み込んだ外部ソフトウェアの出どころ)も管理する。
調達の方法
条件を満たせばだれでも参加できる一般競争入札。提案の中身を比べて選ぶ企画競争入札。
情報提供依頼書
目的と業務内容を示し、ベンダーに技術や製品の情報を出してもらう文書がRFI。
提案依頼書
調達対象・提案してほしい事項・条件を示して提案書を求めるのがRFP、見積書を求めるのがRFQ。
提案書・見積書
ベンダーはRFPを読んでシステム構成や開発手法を考え、提案書と見積書を出す。
調達選定
評価項目と重みを先に決めておき、確実性・費用の内訳・工程ごとの日程・納期を比べて選ぶ。
調達リスク分析
内部統制と法令遵守に加え、CSR調達や環境に配慮したグリーン調達の観点でリスクを評価する。
契約締結
納入物・費用・納期・役割分担を確かめて結ぶ。仕事の完成に責任を負うのが請負契約。
作業を適切に行う責任を負い、原則として完成の義務を負わないのが準委任契約。
ソフトウェアを使う条件を決めるのがソフトウェア使用許諾契約(ライセンス契約)。

さわって確かめる

調達の順番、投資の計算、要件の分け方を、次の3つで試します。

1. 調達の流れを並べる

↑↓ のボタンで6つの段階を正しい順に並べ、「順番を確かめる」を押そう。

  1. 提案書・見積書を受け取る
  2. 契約を結ぶ
  3. RFI(情報提供依頼書)を出す
  4. 提案を評価して発注先を選ぶ
  5. 要件定義をまとめる
  6. RFP(提案依頼書)を出す

2. 投資回収期間とROIで2つの案を比べる

案Bの「使う年数」を3年から5年に変えて、ROIで有利な案が入れ替わるのを確かめよう。

案A
案B

この教材では、投資回収期間=投資額÷毎年の効果、ROI=(使う年数の効果の合計−投資額)÷投資額×100 で計算します。

3. 機能要件と非機能要件を仕分ける

ネット通販のシステムの要件8つを、機能要件か非機能要件かに分けよう。

  • 機能要件
  • 非機能要件
  1. 会員は、自分のパスワードを変更できる
  2. 商品の一覧画面は、3秒以内に表示する
  3. 注文が確定したら、確認メールを送る
  4. 年間の停止時間を、合計8時間以内にする
  5. 管理者は、売上を月ごとに集計して表示できる
  6. 旧システムのデータを、休日の2日間で移し替える
  7. ブラウザとの通信は、すべて暗号化する
  8. 在庫が10個を下回ったら、発注担当に知らせる

3問チェック

最初に選んだ答えで採点します。全問正解で、この単元に「済み」の印が付きます。

  1. 発注する会社が、調達したいシステムの内容と条件を示して、ベンダーに提案書の提出を求める文書はどれか。

    1. RFI
    2. RFQ
    3. SLA
    4. RFP
    答えと解説

    正解はエ。RFP(提案依頼書)は提案書を求める。RFI は提案の前に情報だけを集める文書、RFQ は見積書を求める文書。SLA はサービスの水準を提供者と利用者で取り決める合意で、調達の依頼文書ではない。

  2. 投資額1,200万円で、毎年300万円の効果が出るシステムを6年使う。投資回収期間と、6年間で見たROIの組み合わせはどれか。ROI=(効果の合計−投資額)÷投資額×100 とする。

    1. 回収期間4年、ROI 25%
    2. 回収期間4年、ROI 50%
    3. 回収期間4年、ROI 150%
    4. 回収期間6年、ROI 50%
    答えと解説

    正解はイ。回収期間は 1,200÷300=4年。6年の効果の合計は 300×6=1,800万円なので、ROI=(1,800−1,200)÷1,200×100=50%。150% は投資額を引かずに 1,800÷1,200 とした値、25% は1年分の効果 300÷1,200 の値、6年は使う年数そのもの。

  3. 図書館の貸出システムの要件のうち、非機能要件に当たるものはどれか。

    1. 利用者は、借りている本の返却期限を画面で確かめられる
    2. 返却期限を過ぎた利用者に、督促のメールを送る
    3. 開館時間中は、システムが止まる時間を月に合計30分以内にする
    4. 職員は、本の貸出回数を月ごとに集計できる
    答えと解説

    正解はウ。止まる時間の上限は、システムが「何をするか」ではなく「どれだけ安定して動くか」(可用性)の条件なので非機能要件。ア・イ・エは、画面での確認、メールの送信、集計という、システムがする働きそのものなので機能要件。