システム構成要素
コンピュータを何台、どうつなぐかで、止まりにくさと速さが変わります。この単元では、システムの組み方と、稼働率・性能・費用でその組み方を評価する方法を扱います。
要点
システムの構成
- 処理形態・利用形態・適用領域
- 1台の大型機で全部を処理する集中処理と、複数のコンピュータで分け合う分散処理がある。
- ためてまとめて処理するバッチ処理は給与計算向き。発生した時点ですぐ処理するリアルタイム処理は座席予約向き。
- 画面で人と1件ずつやりとりするのが対話型処理。一連の更新をひとまとまりで扱うのがトランザクション処理。
- システム構成
- デュアルシステムは2系統で同じ処理をして結果を比べる。デュプレックスシステムは主系(現用系)が止まると従系(待機系)に切り替える。
- 主記憶を共有する密結合と、それぞれが主記憶を持ち通信でつなぐ疎結合。複数台を1台に見せるのがクラスタ。
- 災害に備えるバックアップサイトは、すぐ切り替わるホットサイト、機器だけ用意したウォームサイト、場所だけのコールドサイトの順に準備が軽い。
- 1台の物理サーバで複数のVMを動かすのが仮想化。VMを止めずに別の物理サーバへ移すのがライブマイグレーション。
- クラウドコンピューティングは借りる範囲でSaaS(アプリ)・PaaS(実行環境)・IaaS(基盤)に分かれる。関数単位で動かすのがFaaS(サーバレス)。
- 機器の構成をコードで書いて自動で作るのがIaC。利用者の近くで処理して遅れを減らすのがエッジコンピューティング。
- 対等な端末どうしが直接やりとりするピアツーピア、多数のコンピュータを束ねて計算するグリッドコンピューティングもある。
- ハイパフォーマンスコンピューティング
- HPCは気象予測などの大量の計算を、多数のプロセッサによる大規模並列処理で速く解く。
- クライアントサーバシステム
- 3層クライアントサーバシステムはプレゼンテーション層(画面)・ファンクション層(業務処理)・データベースアクセス層に分ける。
- DBサーバに処理手順を登録して呼び出すストアドプロシージャは通信回数を減らせる。別のコンピュータの手続を呼ぶのがRPC。
- 端末は表示と入力だけにし、処理とデータをサーバに置くのがシンクライアントシステム。画面ごとサーバで動かすのがVDI。
- Webシステム
- WebブラウザがHTTPで要求し、WebサーバがHTMLなどを返す。ブラウザがあれば専用ソフトを配らずに使える。
- ストレージ
- RAIDは複数のディスクを1台に見せる。RAID0はストライピング(分散して速く)、RAID1はミラーリング(同じ内容を2台に)。
- RAID5はパリティを全ディスクに分散して1台の故障に耐え、RAID6は2種類のパリティで2台に耐える。RAID10はミラーをストライピングする。
- RAID2はハミング符号、RAID3・RAID4はパリティ専用ディスクを使う(3はバイト単位、4はブロック単位)。
- LANにつなぐファイルサーバ専用機がNAS。サーバとストレージを専用のネットワークで結ぶのがSAN。
- 信頼性設計
- 故障しても止めないのがフォールトトレラント、故障しにくい部品や点検で故障そのものを減らすのがフォールトアボイダンス。
- 故障の影響を冗長な部分で外に出さないのがフォールトマスキング。機能を落としてでも動かし続けるのがフェールソフト。
- 故障時に安全側へ倒すのがフェールセーフ、人が誤った操作をできないようにするのがフールプルーフ。
- アクティブ-スタンバイ構成は片方が待機し、アクティブ-アクティブ構成は両方が処理を分け合う(ロードシェアリング)。
システムの評価指標
- システムの性能指標
- 入力し終えてから応答が始まるまでがレスポンスタイム。仕事を頼んでから結果が全部返るまでがターンアラウンドタイム。
- 単位時間に処理できる量がスループット。同じ処理を実行して比べるベンチマークにTPC(トランザクション)、SPECint・SPECfp(整数・浮動小数点)がある。
- キャパシティプランニング
- 処理の量と負荷を見積もり、必要な性能を決める(サイジング)。運用中もモニタリングで測り続ける。
- 台数を増やすのがスケールアウト、1台の性能を上げるのがスケールアップ。必要な資源を準備して割り当てるのがプロビジョニング。
- RASIS
- Reliability(信頼性)・Availability(可用性)・Serviceability(保守性)・Integrity(完全性)・Security(安全性)の5つ。
- 信頼性の指標はMTBF、可用性は稼働率、保守性はMTTR。値が大きいほどよいのはMTBFと稼働率、小さいほどよいのはMTTR。
- 信頼性指標と信頼性計算
- MTBFは故障から次の故障までの平均時間、MTTRは修理にかかる平均時間。稼働率=MTBF÷(MTBF+MTTR)。
- 直列システムの稼働率は掛け算(A×B)。並列システムは「両方止まる確率」を1から引く(1−(1−A)(1−B))。
- 故障率は時間とともに初期故障期・偶発故障期・摩耗故障期と変わる。この形がバスタブ曲線。
- システムの経済性の評価
- 導入時の初期コスト(イニシャルコスト)と、運用中の運用コスト(ランニングコスト)を合わせたTCOで比べる。
- 機器やソフトの代金は直接コスト。利用者の教育や、故障で仕事が止まった損失は間接コスト。
さわって確かめる
稼働率とRAIDを、次の3つで計算します。結果の欄には、式と途中の値も出ます。
1. MTBFとMTTRから稼働率
MTBF 990時間、MTTR 10時間を入れて、稼働率が 0.99 になることと、1年で止まる時間を確かめよう。
2. 直列と並列を組み合わせた稼働率
A・B・Cをすべて 0.9 にして、つなぎ方を4通り切り替え、全体の稼働率がどう変わるか比べよう。
3. RAIDの容量と、故障に耐える台数
2TBのディスク4台で、RAID0・1・5・6・10を切り替え、使える容量と耐えられる故障の台数を比べよう。
3問チェック
最初に選んだ答えで採点します。全問正解で、この単元に「済み」の印が付きます。
-
ある装置は、平均して450時間動くと故障し、修理に平均50時間かかる。この装置の稼働率はいくらか。
- 0.1
- 0.889
- 0.9
- 0.95
答えと解説
正解はウ。MTBF=450時間、MTTR=50時間なので、稼働率=450÷(450+50)=0.9。0.1は止まっている割合(50÷500)。0.889は 1−50÷450 で、分母を全体の時間ではなくMTBFにしてしまった値。
-
稼働率0.9の装置2台を並列につなぎ、その後ろに稼働率0.95の装置1台を直列につないだ。全体の稼働率はいくらか。
- 0.7695
- 0.9405
- 0.99
- 0.9995
答えと解説
正解はイ。並列部分は 1−(1−0.9)×(1−0.9)=0.99。これに0.95を掛けて 0.99×0.95=0.9405。0.7695は3台とも直列にした値、0.99は並列部分だけの値、0.9995は3台とも並列にした値。
-
踏切の制御装置が故障したとき、遮断機を下りたままにして、車や人が線路に入れないようにする。この設計の考え方はどれか。
- フェールソフト
- フェールセーフ
- フールプルーフ
- フォールトアボイダンス
答えと解説
正解はイ。故障したときに、被害が出ない側(通れない状態)へ倒すのがフェールセーフ。フェールソフトは機能を落としてでも動かし続けること、フールプルーフは人の誤操作を防ぐこと、フォールトアボイダンスは故障そのものを起こりにくくすること。